アイドル的存在だった頃の高峰秀子をキュートに撮りつつ、かき氷やラムネといった小道具の巧みな使い方、生活感に溢れる情景など成瀬監督らしい演出もしっかりとあるため普通のアイドル映画とは違った風情のある佳作に。でも昔高峰秀子本人がトークショーで語っていたように、全体的にラムネのようにさっぱりと仕上げすぎているので見終わったあとなにも残らないので観賞後の余韻が一切無いのが若干不満かも。
主人公のバスガイドで自分の会社を盛り立てんとする高峰秀子をサポートする運転手役の藤原釜足(このときは藤原鶏太)の臭すぎず軽すぎずの絶妙なバランスによる飄々とした演技が絶品。
牧歌的な雰囲気だった物語がひっくり返るラストに驚く。