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ふたりのトスカーナのeのレビュー・感想・評価

ふたりのトスカーナ(2000年製作の映画)
4.0
笑いあり涙ありで家族と一緒に幸せな毎日を過ごしていたらある日ドイツ軍がやってきて、というナチス物映画の定番すぎるストーリーながらなかなか良くできていた。そしてこの定番と言えるストーリーは、原作者の幼少期の体験に基づいた出来事とのことで、映画の中で描かれる悲劇も実話が基となっているそうな。しかしこの映画、日本で全然知名度なさそうなのは何故なんだろう。

舞台は1943年のイタリア、トスカーナ地方の田舎。事故で親を亡くした幼い姉妹は村の名士である裕福な叔父叔母の家に引き取られ、周りの大人たちからも愛情を受け徐々にトスカーナに馴染んでいくが、ある日ムッソリーニ逮捕のニュースが流れる。イタリア政府は連合軍と休戦協定を結び戦争を終わらせようとするが、それを察知したドイツはイタリアへ侵攻し軍事占領を始める。姉妹の住む屋敷も接収され、ドイツ軍の司令部として使われ、次第に戦火も迫りつつある。そして、叔父さんはユダヤ人だった、、、というところまで来ると、結末がなんとなく想像できてしまうかもしれない。東部の国々とは異なりイタリアには強い反ユダヤ主義はなかったが、ドイツによる占領後は当然ユダヤ人達は危険に晒されることになる。叔父さんは当初はドイツの将軍とチェスをしたりしているが、やはりというか親衛隊の登場で一気に不吉な空気が流れ始める。映画の世界では親衛隊の制服は完全に悪人の象徴なのである。無邪気な姉妹の振る舞いと否応無しに起こりゆく残酷な運命との対比がが戦争の悲惨さを際立たせている。
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