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白夜の時を越えてのaiのレビュー・感想・評価

白夜の時を越えて(1998年製作の映画)
3.4
現代をモノクロ、過去の回想をカラーで描いている珍しいパターンの作品。

そして、その時間軸を行ったり来たりしながらストーリーは進み、軸となっているのが双子の姉妹の複雑な心理関係。

双子の生い立ち、同じ境遇で生きてきた双子が成長し、サーカスという異世界で『あなたには出来て私には出来ないことがある』とお互いが1人の『違う人間』だと気が付いていく過程、そんな複雑な心理を描写したかのような終始暗い映像が素晴らしい。(暗すぎる!と嫌う人も多いが)
北欧の白夜をイメージしてしまう寒さと暗さを感じる演出だ。
またある意味、この映画の主役は双子の少女ではなく、母親であると思う。娘たちの人生を振り回す自由奔放でワガママな母親の行き着く先、そしてそこに人間の弱さを垣間見る。

サーカスといえばフェリーニの名作「道」。それには及ばないが現代の「道」ともいえるような深い作品だった。
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