介護、離婚、裁判、格差…などなど、単体でも地獄な事柄が何重にも重なってハイパー生き地獄が醸成されるという、見ているだけでも逃げ出したくなる作品。
まず夫婦の離婚協議シーンからの一連の流れで一通り提示される不穏なシチュエーション、そこからある程度の「ああなったらキツいだろうな〜」という展開を予想することはできる。
しかし彼の作品は(やはり)それを軽く超えてくる。
地獄としか言いようがない。
そこに絡みつく「嘘」、守りたいものがあるからこその残酷な嘘。
ラジエーの夫は相当に攻撃的だけど、それも全て妻の誇りを守りたいからであって、それがもう一方の家族には本当に苦痛になっていくのがまた辛い。
これはたぶん正解はないやつですね…
エンドロールの演出の居心地の悪さと辛さは「セールスマン」と双璧だった。
夫婦を隔てるパネルはあまりにも厚い。
