別離の作品情報・感想・評価

「別離」に投稿された感想・評価

Kuuta

Kuutaの感想・評価

3.9
「どいつもこいつも…」と思わずにはいられない緻密な脚本。計算され尽くしたカメラワーク。話はどんどん重くなっていくものの、小気味好い編集が興味を持続させてくれる。レベル高い。

イランの社会的な問題をミステリー仕立てで描く。欧米的な妻シミンの行動がイスラム文化と小さな摩擦を起こし、次第に歯車が狂って行く。ドロドロ展開の中での子役の挟み方がうまい。極悪人はいないけれど、それぞれが偏った見方に基づいた行動を取り、見事にすれ違ってしまう。

消えたお金はピアノの運搬代…?78点。
アスガー・ファルハディ監督は天才です! 麻薬といったStorytelling!
Takube

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4.4
骨太のヒューマンドラマや社会派ドラマでありつつ、ミステリーなどの要素も光る完成された映画だった。

とにかく脚本が見事だと思う。
家族や宗教といった問題を、事件を通すことでミステリーの要素を交えつつ、様々な視点から見れるようになっている。

つまり、ヒューマン、社会派ドラマの奥深さだけでなく、展開の面白さを感じながら見られるということ。
しかも、それが最終的には映画の命題に上手く回帰しているのが素晴らしい。

また、会話劇が基本となって映画が進行するわけだけど、それらの会話一つ一つにも上記のような魅力が備わっている。

演技や映し方、画面の構図も脚本の仕掛けを含みつつ、登場人物の感情がひしひしと伝わるような緊迫感があって良い。


やっぱり、哲学や社会といったシリアスなテーマの映画だからといって、なんでも高尚な素晴らしい映画になるわけじゃない。

映画としての面白さや魅力が、そういったテーマに深みとパワーをくれるのだと思う
piapiarom

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3.8
宗教観、考え方の違い、親子の葛藤。色々と考えさせられる重い映画でしたが、答えが出て良かった。
ぽんず

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4.8
最高にハラハラどうしよもない。
信仰、何かを守るための嘘。
はさまれる子供。
naokit

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3.6
よく考えられた脚本。
とことんリアリティに徹している役者陣(特におじいちゃんスゴイ)。
宗教を信じるうえでの個人の温度差…どこまで自分の嘘や隠し事を許すのか。
認知症と家族の生活。
と、とにかく重い。
まさに、負のスパイラルとはこの事。
元気な時観ないと、最後までたどり着けない気がする。
初ファルハディ。とてつもなく厭なサスペンスドラマで素晴らしい。
Yoko

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4.2
娘の教育事情を想い海外に移住する決断をする妻と、アルツハイマーを患った父を見捨てられない夫。
話し合っても埒が明かない二人の決断は…。


家庭を持つ大人として過ちを認めるわけにはいかない「大人の事情」と、子を想う愛情が絡みあう悲劇。
ここまで胸糞悪くさせる作品もなかなかない、やはり脚本がとても素晴らしい。
イスラム教徒ならではのドラマは単純に観ていて新鮮だった。
「信仰」の要素をこの悲劇にうまいこと合致している。
またこういうドラマは子どもが傷ついていることに気づけない盲目な夫婦というのがよくあるケースだが、それにも片方はそのことに気づいている分、余計に救えない。
決して盲目の愛情で子どもと向き合うような愚かな親ではないのにこうなってしまう。
「別離」の恐ろしさ。

こんなことにならんためにも夫婦仲は大事にせんといかんですねという反面教師を訴える映画にしてはあまりに凄惨なドラマであるために、今作の訴える反省が届かない人も少なくはないかもしれない。
反省よりもまず疲弊が先んじる。
心がもうヘトヘトだ……。
michika

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3.8
この監督はやはり胸糞映画の天才!大人たちは全員自分のことしか考えてない…どうするか子供に決定させたりとほんととにかく最低すぎて面白かった。全員が根っこの部分は善人なのに、少しずつどうしようもないズレが起こって、どんどんすれ違って、もう元には戻れなくなって、誰も悪くなかったはずなのに憎しみあってどん底な感じになっていく無力感がすごい。
娘の将来を想い離婚してでも国外移住を考える妻と、アルツハイマーを抱える父親を置いてはいけないという夫。夫婦の意見は平行線を辿る中、介護のために雇った家政婦を巻き込んで思わぬ事態へと発展する。

終始重苦しい映画でした。

恥ずかしながらイランと聞いて、中東にあるイスラム国家ということ以外イメージできなかったのですが、とても引き込まれたし、考えさせられました。

宗教と貧困に絡めて介護の厳しさや、離婚に巻き込まれる子どもの問題。ありふれたテーマが確かなリアリティをもってのしかかってきます。

宗教的に嘘が許されない環境の中、みんながよかれと思って吐いた嘘が、事態を混乱させていく。真実は一体なんなのか、ミステリーとしても巧みな構成でした。

冒頭のやりとりから繋がるラストシーンも素晴らしい。

後味は悪かったけど、2時間があっという間に感じられる傑作だと思います。
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