別離の作品情報・感想・評価・動画配信

「別離」に投稿された感想・評価

otomisan

otomisanの感想・評価

4.0
 公けの審問所で妻シミンは娘テルメ―の成長にイランの地は好ましくないと平然という。アフガンならタリバンが、イラクなら公安が黙ってはいないだろう。ではシリアなら?訴える先を探すより難民として出国してしまうのだろう。
 しかし、ここイランでは夫ナデルと妻シミンの仲は他国への移住で拗れて離婚の危機にまで至ってしまう。そうまでしてシミンがイランを出たがる理由が何か?夫婦の別居で始まって離婚手続きで終わる間に一家が抱えたもうひとつの係争を眺めると分かる気がしてくる。

 ナデルは別居する妻の伝手で認知症の父親の面倒をヘルパー、ラジエーに依頼するがそれが不手際で事故続き、金までなくなったとしてナデルが彼女を追い出せば、そこからラジエーの流産、ナデルの殺人容疑につながり、ナデルからは父親の監禁容疑でラジエーへの訴え返しまで発展する。
 前の作品「彼女の消えた海」でもおなじみの嘘の応酬、脅迫、法廷外闘争にもちろん示談もあっていろいろだが、どこをとっても娘に対して胸張って父さん母さんを信じて目を逸らしてはいけないなんて言えないだろう。
 あの娘テルメ―の恐る恐る生きているような覚束なさなんだが、こんな大人たちの闘場を目の当たりにしながら同じような大人になっていくんだろうか。するとこれを嫌ってテルメ―は母親と共に移住を望むのだろうか?それとも、うそを吐くし姑息さも隠し切れないけれども示談を受け容れて妻とよりを戻す望みをつないだ父親につくのだろうか。
 それを考えるうえでカギとなるのはナデルの殺人容疑だが、ナデルが示談の条件として、流産の原因がナデルにあると神に誓って言え、とラジエーに求める件である。これに応じられないラジエーの懸念もまた、神に偽りの誓いをして、その災いが自分の娘に及ぶ事にある。

 どちらの親も子どものために矛を収める格好だが、シミンとナデルだけは子の面倒見で対決となる。テルメ―がどちらを選ぶのか知らないが、母親と出国したところで、行った先でイラン流に係争を持って、今はまだ11歳のテルメ―だがいずれ親と同じようなイランの女に成長してゆくんだろう。
m

mの感想・評価

4.8
選ぶなら父親側かな、とも思ったけど「おまえの判断に委ねる」精神は放棄ともとれる。教育ママ、過剰な交渉の母親のおかげで状況を打開できたこともある。
別れるのが決まっていてじゃあどうする?ただみんなで仲良く正しく暮らしたいだけ、本当のこと、本音ってなんなの?娘はただそれだけあればよかった。
けど、それが裁判、生活などの状況的に出しづらくなると辛くてきつい。

22/145
990円/月額 スターチャンネルEX

2022/09/13
Reon

Reonの感想・評価

3.7
皆んながずっと争っていて辛い映画でした。
誰も嘘をつかず本当のことを言えばここまで泥沼のようにならないのではないかと思いますがイランの文化、価値観ではこうなってしまうのでしょうか。
大人の争いに巻き込まれる子供がいちばんの被害者のようで可哀想でした。
イランの首都テヘランを舞台に離婚を決めた夫婦はその周囲の人間を巻き込んで思いもよらない複雑な事件に発展していく物語。

サスペンス要素も含みながら現代のイランが抱える社会問題を浮き彫りにして描いている本作。


冒頭の離婚裁判での夫婦の離婚理由が支離滅裂で、この国には将来が無いから娘のテルメーために海外に移住したいという妻・シミンと、アルツハイマーの父の介護があるから見捨てて国を出るわけにはいかないという夫・ナデルの、海外移住するかしないかで離婚するという理解し難い内容。

その後に夫の許可がないと海外移住できないと分かり、国内に残る事になっても別居して離婚の道を選ぶ方向で進む。娘のために海外移住したいと言っていたシミンの発言自体が怪しくなってくる…。ただ夫と別れたかっただけじゃねぇかと思いながら観ていた。

イスラム教の女性は夫に従順だという偏見すらも序盤からぶっ飛ばしてくる演出には驚いた。どこの国にもいる手に負えない女性はいるのだと思う。この映画はそんなトラブルメーカーの女性たちによって人生を狂わされた人たちの物語。

そんな酷い女性シミン以上にやばい家政婦の女性・ラジエー。真面目で信仰心が強い一方で、自尊心が強い上に判断力に欠けるタイプで、アルツハイマーの老人をベッドに縛り付け仕事中に外出してしまうような救いようのない奇行。

ナデルが家に着くと縛り付けられた父親は床に倒れたまま意識を失い命の危機に。この件件とラジエーの流産問題が今回の2組の家族の争点に繋がる。

一つの事実を巡り、介護問題、貧困問題、宗教観、階級の違い、法律、家族の名誉、私利私欲、嘘などが複雑に絡み合い真実が明かされていく。裁判では平気で嘘をつけるのに、イスラム教の聖典コーランの前では嘘をつけないという信仰心の強さには驚きを隠せないほど衝撃的だった。

普段馴染みのないイランという国の宗教観や社会問題、文化、価値観について知ることが出来て良かった。何よりも身勝手な大人たちの行動に振り回される何の罪もない両家の子どもたちが本当に可哀想で切なかった。中学生という多感な時期にこんな悲惨な事が起こるテルメーの気持ちを考えると辛い。

あくまでも問題提起はするが、その答えを完全に視聴者に委ね考えさせる監督の演出は凄い。展開として盛り上がる部分はないけれど見入ってしまう。それぞれの役者の迫真の演技がとても素晴らしかった。
晶

晶の感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

家庭の問題とか介護とか抱えてる上に、自分は悪ないのに面倒な事になった思てんねやろけど、流産した女の人に対してパパはもっと何か言うことないの
ppk

ppkの感想・評価

4.2
イランという言葉も文化もほとんど知らない国の物語なのに、すごく引き込まれたし、夫婦とか親子って根本はどこも同じなんだなあと思った。
両親と離れたくなくて必死に仲を取り持とうとする子どもが健気で切ない。その気持ちを知ってて、「お前が望むなら」といちいち娘に判断を委ねる父親の残酷さ。
ラスト、彼女の将来に光あれと願うばかり。
ふじこ

ふじこの感想・評価

3.4
みんなが嘘を付く。
それぞれ思惑が合って、思い遣って。

日本とは違う文化、宗教観なんかが興味深く、そして日本は緩いなぁって思ったり。
あらすじを改めて読むとよく出来ているな、と思う。
だけれどもちょっと長いシーンが多く、さらに映画も2時間あるためちょっとぼんやりしちゃうところもあって、もうちょっとギュッとまとまってたらなぁって思ってた。
f

fの感想・評価

4.0
宗教の教え、自分の心に反してまで家族のために嘘をつけるのか。妊婦が働かなければならないこと、割に合わない労働条件と報酬、理由がなければ離婚できないルール、イランという国が生み出した悲しい出来事

弁護士とか検察官とか無しで、当事者の証言だけを元に裁判(?)を行うというのが衝撃的だった。
終わり方がすき。
親に挟まれた子供の気持ちを思うと胸が痛い。
>|

あなたにおすすめの記事