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プリティ・ウーマンのotomisanのレビュー・感想・評価

プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)
3.9
 R・ギアの役どころは悪く言えばハゲタカ・ファンドの親玉なんだろう。こんな仕組みが旺盛なせいでアメリカでは不健康な会社がサクサク整理されて日本のような失われた何十年なんて事も起きなくなるのだろうか?しかし、それだけではただのスカベンジャー、R・ギアでさえスクルージ的に誰からも愛されない。
 この度ギアがジュリアと出会う件では、日本などの製造業に押されっぱなしの造船会社を買い叩いて、いづれ現経営陣を追い出し企業は整理、高値で捌ける部門を売っぱらって大儲けの算段だが、その事始め、関係者と面通しするうえでパートナー同伴が望まれるところだが細君とは離婚協議中、というわけで手っ取り早く女性を漁らにゃならんという。そこでピンと来たのが街頭に立つジュリアであった。
 あとはなんだか歯が浮くような話で、お客様の幸福が至上命題なホテルの善意一杯で十分満足。そこにハゲタカマネーを注ぎ込んでジュリアをマイ・フェア・レディすれば、実はあまり幸福気ではなかったギアのこころの隙間がソフィスティケイトされたジュリアでピッタリ塞がって、整理屋一辺倒のハゲタカマインドも滋味に溢れた企業再生家のそれに大変身だ。
 結局、ジュリアは生き直しにSFへ旅立ち、彼女の相方も不思議なモード変更して虚栄の街を我が家とし、ギアは整理専用機から一段知性を高めた企業家に変わって、アメリカはこのように進化し続けるのだと謳うかのようである。それもこれも、二人の間に芽生えつつある愛のなせる業?ボーっと見ててもそれだけで、よかったじゃねえか、と思えるから不思議だ。
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