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極私的エロス 恋歌1974のGTのレビュー・感想・評価

極私的エロス 恋歌1974(1974年製作の映画)
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 昔付き合っていた女を撮影するドキュメンタリー映画。冒頭で監督が「縁がキレてしまうのが嫌だから」撮ったと言っており、まさにタイトルの「極私的」通りの映画だ。
 同居人との諍いや黒人との子供を孕ったことなど、「よくそんな事映画で公開できるな…」みたいな事柄ばかりが画面に映される。極め付けは監督のアパートでの出産シーン。ピンボケしており(監督のナレーション的に、意図していたものではない?)、映像は不鮮明ながらも子供が産まれるシーンがノーカットで映される。しかも膣から子供が出てくる所まで思いっきり映っていて、中々に衝撃的だ。子供が生まれた後、臍の緒が膣から伸びており、「胎盤も出さなきゃ…」みたいなことを口走っている所がやけに生々しかったのを覚えている。
 映画の主人公である武田美由紀の行動は中々にエキセントリックというか度を外れて豪快で、なかなか理解しづらい部分がある。そもそもこの映画の撮影を許可して世間に公開した事からしてヤバいが、病院に行かずアパートで子供を産み、しかもその子供も誰の子供か分からないという。生まれた子供を見て「混血のガキか」は思わず笑ってしまった。だが、男性のステータスばかり気にし、それにおんぶに抱っこのことばかり考えている女よりは、こういう人の方が個人的には遥かに好感が持てる。この映画は、フェミニズム的な要素もあるんだろうと思う。監督がそのつもりだったかどうかは知らないけど。
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