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燃える仏像人間のGTのレビュー・感想・評価

燃える仏像人間(2012年製作の映画)
4.2
 あまり見かけることのない「切り絵アニメーション」(切った紙や布などを使ったアニメーション作品)の映画。「仏像と融合して最強の生命体になることを目論む僧侶との戦い」という設定の時点でかなりぶっ飛んでるが、本作の特徴はなんといっても、その異様な絵柄とグロテスクな演出の数々だ。あえて例を出せば「漫⭐︎画太郎」や「谷口崇」あたりを彷彿とさせる、絶妙にキショい感じのキャラクター。普通の女子高生のはずの紅子のディティールからして可愛らしさの欠片もなく、仏像と融合してしまった奇形人間たちに至ってはその気持ち悪さはなかなかの物。合体したり肉が分離したりした時に「グチャッ」みたいな嫌な音が鳴り響き、ゲロを吐く時は口からスライムが出てきたりと、生理的嫌悪感を催す演出が満載だ。
 ストーリーの大筋を見ると、意外とちゃんとしているというか、完全にとち狂っているわけではない。説明が不足しているため意味のよくわからないシーンは結構あるものの、「両親を殺された少女の復讐譚」として、かなり体裁の整ったストーリーではある。声優の井口裕香をはじめ、登場人物の声がやたらにいいのが面白い。これを「作品の雰囲気を壊している」と見るか、「それがこの作品の雰囲気を更に唯一無二にしている」と見るかは人によるか。賛否両論というか結構「否」よりの評価が多い気がするけど、個人的にはかなり楽しめた。ただ、実写シーンだけは蛇足だと思う。
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