TaiRa

暁の合唱のTaiRaのレビュー・感想・評価

暁の合唱(1941年製作の映画)
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初めて清水宏観た。役者の棒読み演出とか独特でかっこいい。

木暮実千代が女学校進学をやめてバス会社に就職する女性労働映画。石坂洋次郎の原作だけど何で「合唱」なんだろ。最初は事務員兼バスガールやって、そこから女性運転手になろうという主人公。いわゆる職業婦人についての作品だけど、それにしても女性運転手は珍しかっただろうし、かなり進んだ話なのかな。制作時期は戦時中だがその影はあまりなく、徹底して牧歌的。運行中にあぜ道でスタックして、乗客の花嫁も一緒になって皆でバス押したり、妊婦の乗客が産気づいて男連中が狼狽える挿話があったり、田舎町のロケーションも相まってどれもほのぼのする。基本の物語は木暮実千代と運転手の先輩である佐分利信を中心とする複数人の恋愛模様が絡み合うメロドラマなのだが、それもしっとりとした見せ方で品がある。必要以上に説明もしないし、芝居も淡々とさせるので非常にモダンな印象。バスの車内で二人きりになる画ってのは何とも色気がある。割と今観ても古びない、女性と労働、結婚、恋愛を扱った映画かと思う。
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