デヒ

自転車泥棒のデヒのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
5.0
自転車を盗まれた後のリッチの顔についた汗。 どれほど焦ったのかがわかる。リッチと彼の息子ブルーノは盗まれた自転車を探す旅に出る。映画は自転車を見つけられるという希望を見せながらも、何度も逃してしまう。希望と挫折の連続。何度か続くとあった希望も諦めたくなる。自転車とは一家の生計手段。大切なことを知っているからこそ、家庭の平安のためにも、引き続き探しに挑戦する。明白な犯人だと思った人も逃し、街頭に追い込まれたリッチは家庭の家長としての自尊心を捨て、息子の前でしてはいけない姿を見せることになる。つかまってしまうが、主人とみえる者に「放してくれ」という言葉とともに釈放されることになる。映画は90分間何度も逆転されるリッチの状況を通じて社会の不条理さを見せる。盗みによって平凡で善良な人が犯罪者になる。息子のブルーノと手を取り合って群衆に向かって歩くリッチ。リッチは再び立ち上がることができるだろうか。
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