びーち

自転車泥棒のびーちのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
4.0
やっとありついたポスター貼りの仕事、だが不可欠な自転車が盗まれる。警察も当てにできず、親子の必死の捜索が始まる。ヴィットリオ・デ・シーカによるネオレアリズモの代表作。主演の二人に素人を起用、全編でロケ撮影で戦後のイタリアを活写している。ヌーヴェルヴァーグに先駆けること10年、撮影所を飛び出した映画。実際の闇市ロケで、盗まれた拳銃を捜す黒澤の『野良犬』ほぼ同時期に撮られているのが興味深い。製作から半世紀以上経った今も、貧困が切実な問題であることが悲しい。それにしても、なんと救いのない結末だろう。その2年前に作られたチャップリンの『モダンタイムス』のラストシーンとは好対照をなす。デ・シーカは影響を受けたのだろうか。
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