なすび

自転車泥棒のなすびのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
3.8
うわー…………ほんときついな…タイトルだけ見たら「自転車泥棒?自転車ならかわいいもんやん」なんて思ってしまってたけど…いやー、きつい。
余計な要素が削ぎ落とされているからこそ自転車を取り戻すこと、それだけなのにいかに上手くいかないか手の打ちようがないかが辛い。最後、あんなにたくさんの自転車があってみんな当たり前のように乗って帰って行くのに自分なだけない、見つからない。こんな不条理なことがあるだろうか?と思い人生に匙を投げたくなった瞬間悪魔が耳元で囁く「盗んじゃえよ」……そして自分の時は身を粉にして追いかけても探してもダメだったのにあっさり捕まり、もう本当に本当に人生の不条理を感じて惨めで自分が情けなくてとなりの子どもにも恥ずかしい思いさせて…っていうのがもう辛くて心臓がちくちく傷んだ。

そして特にレストランのシーンが心に残った。私も子どもの頃から貧乏コンプレックス激しくて自分の家が周りの家より貧しいことを知っていてでもそのことを誰のせいにもできなくてただただ辛くて自分の生まれを恨んだことをすごく思い出した。後ろのテーブルの家族の子どもに、なぜ自分がなれなかったんだろう?なぜ自分が貧乏の家に生まれたんだろう?っていうところまでは彼はまだ至っていないだろうけど私はそう考えてしまう…必ずしもお金持ちが幸せとは限らないけれどやっぱりお金はないよりはあった方がいいし貧乏はひもじい。。。

とはいえイタリアネオリズモもっと観ていきたいですな。。。イタリアって北部と南部で貧富の際激しいって世界史で習ったけどそれでこういう映画ができるんだろうな…華やかなだけじゃない
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