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自転車泥棒のaiのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
3.5
敗戦後の混乱と貧困のイタリア。 全くの素人を使ったことでリアリティ過ぎるほどの作品になり、まるでドキュメンタリーのようだ。

自転車1つのネタでここまで作品を完成させたのは素晴らしい。
ストーリーを書くとネタバレになるほどわかりやすいので省略するが、おそらく鑑賞後は切なさがこみあげる人が大半だろう。
しかし、個人的には切なさというより、悔しさのほうを感じた。
戦後は、この手のことはよくあることであったと思う。本人達の中であるのは、悲しみや切なさではなく、怒りと悔しさであろう。それが力強く生きていかなければならないあの時代の人たちなのだと思う。
役者ならば名演技でついついお涙頂戴になりがちだろうが、強さを感じてしまったのは冒頭であげた素人だからこそのリアリティ。
現代の私達には救いようのない時代でも、起こりえる全てを生きていくパワーにしなければならない現実を見せつけた秀作。
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