このレビューはネタバレを含みます
デ シーカの悲劇。やっと見ることができた。
短い映画で派手な展開もない。しかし、ネオレアリズモの傑作であるとされてきた理由がよくわかった。
追い込まれた状況にさらに追い込まれた人の心理が伝わってくる。
美味しいものを食べて元気を出そうとしても、胡散臭い占い師に相談しても、怒りを誰かにぶつけても、状況は変わらない。そして最後にアントニオがした選択も同情できる。あの終わり方も受け手に想像、考えさせるものであり、父親を見るブルーノの表情、父親としての情けないと涙を流すアントニオ、手を繋いで帰る二人の後ろ姿、どれも切なく忘れられない。