芹沢由紀子

テスの芹沢由紀子のレビュー・感想・評価

テス(1979年製作の映画)
3.7
長い!170分くらいある。お盆休みに帰省中にやっと見れた名作。
ナスターシャ・キンスキーが美しすぎて、ずるい。ずるいとしか言いようがない。

ストーリーはイギリスの田舎町が舞台で、信神深い貧しい農家の娘が、なぜか美貌と品格に恵まれ、10代特有のけだるさと「私ってかわいそう」的なアンニュイさを振りまいている時点で、もうアンハッピーエンド感が満載な予感。

ただ、美しい映像美と神々しい主人公の美しさ、静謐な空気感でどんどん退屈しないで先に進める。

テレサは悪い屑男に目を付けられ、悲しい展開になるも、すぐに少女漫画みたいなドキドキうっとりするような恋が訪れる。
若い時に鑑賞していたら、テスの恋人たちは極悪非道だと感じて一方的に主人公に感情移入し、センチメンタルな気持ちになったと思われるが、人生を折り返した今見ると、男のほうの気持ちもわかるというか、「詐欺られた。僕の運命の天使ちゃんが、実はそこら辺のビッチだったなんて」的な愚かさも納得できる。

ストーリーは、いつか原作の小説も読んでみようと思う。優れた文学作品なんだろうな。楽しみ!!

ただ、この女優さん当時実年齢16歳くらいだと思うんだけど、最初は声色とかで本当にローティーンに見えるのに、後半はヘアメイク?演技で迷走する貴婦人の経年変化を見事に演じててすごいなと思う。

ただ、15歳の時から監督とデキてたらしいので、このエロスとかはオッサンに鍛えられてないと醸し出されないんだなと逆に夢を奪われた気分も味わった。

ロマン・ポランスキー監督は「戦場のピアニスト」でとっても好きになった監督だけど、人間性は狂ってるからこそ美しい作品を残せるんだろうなという天才のジレンマを感じさせてくれる。
芹沢由紀子

芹沢由紀子