蒼井ことり

デッドマンの蒼井ことりのレビュー・感想・評価

デッドマン(1995年製作の映画)
4.0
よくできた作品。

独特の美学のある端正な映画。
哀愁や野性味のある雰囲気が、
唯一無二のオリジナリティをかも出しており、色々と見応えのある映画。

主人公の変貌ぶりも見もので、ジョニデが憑依系の素晴らしい演技をこれでもかと遺憾なく発揮。

でも、残虐なシーンや死体がたくさん出てくるから好きじゃない。
モノクロなのがうなずける。
あと、西部劇が好きじゃない。銃や発砲シーンも好きじゃない。
子供や繊細な人は見ないほうがいいかも。
年取って感受性が鈍った自分は、若い頃見てたら1ヶ月くらい後引きずってそう。
なんか違う、コレじゃない感があってチョイスしなかった映画。
やっぱり好みと違った。人間の直感って思ったより正しくて、老いても感性って変わらないのね。
で、好きじゃないから映画として劣ってるかというとそれは違うし。人に勧めないし、見返さないと思うんだけど、自分の中では、高評価みたいな、チグハグ気分。

でも物語的に面白く飽きさせず最後まで観た。当時(当時っていつくらいだ?西部劇が舞台になる頃)ネイティブアメリカンの暮らし、文化にが垣間見れて新鮮というか、自分の観てきた映画になかったエッセンス。
歴史的にも価値高いし、きっとネイティブアメリカの地位向上にも役立ったかと。

ジョニデのキービジュアル、ホント素晴らしい。美しい。
素晴らしく画面の座りが良い。
この人より美形だとか、スタイルいいだとか、演技が上手いとかいると思うけど、設定を最大限活かせるというか、キャラクターとして成立させるポテンシャルの高さ?があって、うまい。
marvelのキャラクターとかエヴァンゲリオンとか、なんかもうキャラクターとして並んでても違和感ない。最大限にキャラや設定を引き出す人なんだろう。
衣装とメイクセンスが素晴らしい。
変身(?)前の蝶ネクタイ+チェックスーツの気弱なメガネくんもハマってたし。
全編とおしてノーバディの穏やかな笑顔も印象的。
この映画観たことないのに、観たことあるシーンが何度も出てきた。あっ!このジョニデの表情知ってる!!このボートのシーン、小鹿のシーン、見たことある!みたいな。
もしかして、観たことあるんじゃね?と勘違いしそうなくらい。
観たことないのに観たことあるシーンたくさんって、スゴいことだと思う。サブカルチャーに対するすごい影響力。
昨今の親ガチャ、職場ガチャなどの運命感じるキーワードに敏感になってるせいか、人って環境や出会う人でこんなに変わってしまうのか〜と思わされた。ウィリアム、己の中の野性や強さ、詩を知れて、本当の自分になれたのですか?しあわせな人生でしたか?
もうすこし違う方向に行けなかったものかと…
ラストの、非常に侘しく孤独な旅立ち。
まぁ人は死ぬ時は誰でもひとりだもん。さびしくないよね。
25年以上ぶりにジャームッシュに傷跡残されたなぁ。
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