あやと

ONE PIECE FILM Z ワンピース フィルム ゼットのあやとのレビュー・感想・評価

4.2
ONE PIECE映画で最も完成度が高いと思う作品。原作の時系列でいうと魚人島から新世界に突入したあたりのお話なので、そこまで視聴した上で本作を観ることをおすすめする。

海賊を憎み海軍にも失望した元海軍大将ゼファーが、教え子達を従えて「ネオ海軍」を組織し、新世界もろとも海賊を根絶やしにする計画を進めていくというストーリー。一見するとただオジサンが暴走してしまっただけのようでもあるが、彼の中に揺るがぬ正義があったことがラストシーンによって浮かび上がってくる。彼が「ゼット」を名乗る理由、果たしたかった正義のあり方、決して筋を曲げない生き様、そういうものが最後にはっきりと描かれたことで、人物像の深みが増し、作品の質が1段上のものになったと言える。

またゼファーというキャラを通して海軍側の人間模様を描いたというのも、ONE PIECE世界の理解を深める上で有意義だと感じる。ONE PIECEを見ているとつい海賊側に感情移入してしまうが、海軍の中にも譲れない正義があること、海賊や一般市民と同じように涙を流す人間であることを、本作は改めて思い出させてくれる。

街の描写や戦闘シーンの作画も良くて、チョッパーはいつも以上に愛らしくて、温泉で茹っているルフィも可愛くて、総じて満足のいく作品だった。
あやと

あやと