ごんきち

火垂るの墓のごんきちのレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
3.5
ジブリのトラウマ映画こと、火垂るの墓。
1988年公開で、当時は二本立て上映で
宮崎駿監督作品の「となりのトトロ」のあとに
火垂るの墓が上映されていたそうだ。
あんな平和な物語の後に火垂るの墓って、
どんなメンタルで鑑賞したらいいの。

「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」と
清太という青年のセリフから始まる。
現代の三宮駅で幽霊となって現れた清太。
視線を落とすと死ぬ直前の清太がぼやぁっと現れるも、
やがて命が尽きてしまう。

そこからさらに時は遡り神戸大空襲直前、
心臓の弱い母を先に避難させた清太は
4歳の妹の節子を背負って
あたりが火に包まれる中、必死に逃げた。

空襲を受けた街は焼け野原になり、清太の家も無くなった。
そして先に避難した母も空襲に巻き込まれて亡くなってしまい、
清太と節子は遠縁の叔母の家で世話になることになる。

しかし戦争が進むにつれて口うるさい叔母との共同生活に
嫌気がさした清太は節子をつれて叔母の家を出て、
二人きりで防空壕の中で暮らしはじめる、というお話。

高畑勲監督によると反戦映画にするつもりなかったそう。
戦争の時代に生きた兄妹の悲しい物語ではあるが、
周囲の人々との関係を閉ざして生きようとするも
それに失敗する姿は現代の若い世代に通ずるものがあり、
そこを共感してほしかった、とのこと。

現代はデジタルが発達しているのである程度は
自分の世界に閉じ篭れる時代になったけど、
たとえば戦争や災害でネット通信が停止したときに
一人ぼっちになってしまう人は今どれぐらいいるのでしょう。

かくいう私もポツンになる可能性が大なわけで、
社会との関わりがないと助けてくれる手も届かず、
声をあげても聞いてくれる人もおらず、
道を切り開くための情報も手に入らない。
知り合いを大事にしておかないとね。

清太ももう少し愛想がよければ、
コミュ力あれば、なんとかなったのかなぁ。
同時上映のとなりのトトロのサツキちゃんなんか
コミュ力おばけだもんなぁ。

しっかし、ネットで調べまくって
予備知識いれてから見ないと涙で画面が見えません。
高畑監督、もうちょっと、
素人にもわかりやすく作っておくんなまし...
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