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火垂るの墓のlaBamba01のレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
3.9
高畑勲監督 追悼放映を観て。

これ、公開当時『となりのトトロ』と併映で観たのだが、あまりに悲惨で湿っぽく、ドヨ〜ンと重たく感じてしまい、観るんじゃなかった〜と軽くトラウマになった作品...でも、その時は、後に観たトトロの楽しくて爽やかな感動の後味に救われた事を思い出すw

でも その後、自分が歳を重ね、折に触れ本作を観る度に、自分自身の感じ方が変わって来た様に思う...敗戦の色濃い戦中の世知辛い社会と人間関係に翻弄され、孤立していく主人公兄妹の姿...特に、当人もまだ少年である兄の胸の内の 遣る瀬ない不安と孤独、そして絶望に胸締め付けられ、哀切と寂寥の想いが大きくなってきたのだ。

自分が学生の頃は、戦争など全くの他人事...今よりもっと、良くも悪くも平和ボケしていられた時代だったのも 大きな要因なのだと思う。

でも 近年は、この映画だけでなく『この世界の片隅に』も観て更に、平穏無事な日常生活の有難さに思いを遣る事が多くなってきた様に思う。

そして気づけば、時代は繰り返すと言うか、つくづく無常感と言うか、予感とでも言うべき不穏な空気がひしひしと感じられるているからかも知れない。

一体、今は戦後なのか? それとも戦前なのか?? 目まぐるしく動く世界の向かう先は、全く予測などできないけど、こんな悲惨な映画みたいな目にあいたくない!戦争なんて不毛だ、罪も無い 弱い命が犠牲になるばかりじゃないか!と強く憤り、願う人がこの映画をキッカケに一人でも多く増えてくれたら、高畑監督も本望なんじゃないかな〜と思ったりした。
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