真魚八重子

ハリー、見知らぬ友人の真魚八重子のレビュー・感想・評価

ハリー、見知らぬ友人(2000年製作の映画)
4.0
ジャケが50年代の歴史映画みたい。手に持ってるの生卵だけど。

変な話ではある。ミシェルは妻と幼い娘たちを連れて、別荘へ向かう。車はエアコンがなくて暑さでみんなイライラするし、別荘といってもボロ屋なので滞在中は力仕事で修繕ばかりしている。まったく休まらない休日。その移動中に寄ったトイレで、高校時代の知人だというハリーという男に声をかけられる。見覚えはないが、彼は若いカノジョとともについてきて、ファミリー向けの車をプレゼントしてくれるなど、ミシェルに至れり尽くせりの友情をみせてくれるが、気前が良すぎて逆に怪しくなってくる。

ハリーはミシェルの願望をすべて叶えてくれて、殺人まで犯してくれる。普通、映画はそれがミシェルの妄想か、実在の人物でどういう魂胆があるのか、という話に持っていくものだが、実在の人間が無償でここまでするはずがない。
でもミシェルの父とも知り合いだし、ハリーとカノジョが二人で喋っているカットもあるし、妄想ならあってはいけない場面だ。

だから、現実か妄想かはどうでもいい、というのが結論だと思う。別にガチガチに論理の筋が通っていなければいけないわけでもない。かなり特殊で、9割9分はまかり通らないと思うけれど、本作に関しては端々が面白いのでアリになっていると思う。
頭にヘリをつけた猿とか、親が別荘で勝手に完成させたピンクのバスルームとか。みすぼらしい扉を開けて真ピンクのバスルームを観た瞬間、やっぱり笑える。
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