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コーチ・カーターのおはぐのレビュー・感想・評価

コーチ・カーター(2005年製作の映画)
3.8
カリフォルニア州にあるリッチモンド高校のバスケットボール部コーチ、ケン・カーターの実話を基にした感動ドラマ。リッジモンド高校の成績不振なバスケットボールチームに同校のOBでバスケの名選手だったケン・カーターが新任コーチとしてやってくる。彼はまずはじめに、選手たちと学業成績向上と規律ある生活態度を遵守するといった契約を交わす。初めこそ戸惑いや反発が見られた選手たちは、カーターの強い信念と確かな指導力によって勝利を手にし始める。
俳優陣が本気で取り組んだリアルなゲームシーンのクオリティが高く、バスケ経験者だけでなく未経験者も楽しめる一作。カーターコーチの熱心な指導で身体的、精神的に成長し、強豪校と接戦にもつれ込む熱い展開にはいつ見ても胸が熱くなります。場面に応じたフォーメーション変形、息の合った連携プレー、テンションがブチ上がるブザービートの瞬間などゲームの面白さが沢山詰まってるのも魅力です。
コーチと学生の信頼構築の過程を描きながらも、黒人社会が抱える“学校から刑務所へのパイプライン問題”についても言及する内容になっているのが他バスケ作品と異なる点だと思います。黒人貧困地区の高校ではメンタルヘルスのカウンセラーがいないどころか、問題行動に備え警察が常駐していることが多いため、そのまま刑務所にブチ込まれるパターンが多いと聞きました。だからこそ、学校に在籍している間の彼等だけを考えるのではなく、厳しい社会に放り出された未来の彼等のことも考え指導にあたったカーターコーチの実話に感動するのだと感じます。中盤以降、カーターコーチが生徒に問いかける「お前たちにとっての最大の恐怖とは何だ?」という問いは、環境的、経済的理由から未来に展望が持てない多くの黒人生徒たちが持つ“当然の権利”に気付かせる大きなきっかけになったのではと思います。
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