春とヒコーキ土岡哲朗

GOEMONの春とヒコーキ土岡哲朗のレビュー・感想・評価

GOEMON(2008年製作の映画)
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ド派手に落ち着いた、痛快娯楽映画。

江口洋介演じる圧倒的ヒーロー性を持った石川五右衛門が、ファンタジックな映像の中で、自由を求めて戦う。
“天下の大泥棒”という豪華な響きが本当に似合う、でかい男。光は淡い色に照り、荘厳できらびやかな風景が広がるヴィジュアル。
映像に慣れるまでは飾り気がくどく感じてしまうが、慣れるとその忍アクションが楽しい。

キャラクターがみんな良い。
ヒロイン感満開の広末涼子、モンスター・奥田瑛二、虎視眈々とした伊武雅刀、ゴールド・ロジャーの存在感を放つ中村橋之助。さらに脇役も、若さゆえの焦燥感漂う要潤、狂った世界の象徴となるようなマッドな玉山鉄二、自分の信念で動くクールな寺島進。そして、五右衛門との絆、自身の誇り、家族への愛を持ち合わせる大沢たかお。

影で生きるしかなかった五右衛門と才蔵。その反動が、五右衛門は自由、才蔵は名誉と、別の方向に向かっていた。
みんなが野望や理想を持って動く中、2人の友情はどうなるのか。

華やかだが100%明るい話ではなく、むしろ暗さの方が強い。だが、なんとも「天晴」と思える映画。