クェ虫丸

鍵泥棒のメソッドのクェ虫丸のレビュー・感想・評価

鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)
4.0
爽快、あまりにも爽快
(実際は完全に逆だけど)完成し切ったパズルをゲラゲラ笑いながらひっくり返すような膝を打ちたくなる爽快さがやばい

邦画ってやつに疎くて、いわゆる押しも押されもしない傑作はスウィングガールズとウォーターボーイズとカメ止めぐらいしか見た覚えがないんだけど、不勉強なぼくの中ではそこらへんの傑作と並ぶぐらいオモロかった

ともかく登場人物たちが「何に価値を見出してるか」が一貫してていい!
いやまあこの手の作品の良さを言語化するのもわりとナンセンスな気がするけどまあこれは自分の思考の整理のためだからな、、

確たる自分と状況に流される自分
そこらへんの乖離への葛藤とそれでも走り続けるキャラの力強さ、純粋に「走らないといけない」状況に無理なく置く作劇の巧みさ
全て噛み合ってて最高だった

あと電話口で、イヤミで呼んだ「コンドウさんよぉ!」が作劇上全てがおじゃんになるかならないかの分水嶺だったのがクソ笑った
死ぬほど丁寧だよなこういう姿勢
しかもその丁寧な姿勢を作劇に組み込んでくれるところが本当に好きだ、、

ラストシーンもいいよね
コンドウ側のラストは「本人たちにとっては死ぬほど重要」っていうファクターは側から見てるとあれだけど、そのしょーもないものこそが彼らを結びつけたっていう証左だし
エンドロールをぶっちぎってまで挿入したあのシーンは「世の中に希望が溢れてるのもいいんじゃね?喜劇だし!知らんけど!」って感じで無責任さと責任感が同居しててバランス感覚が最高
クェ虫丸

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