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エスターのmaiのレビュー・感想・評価

エスター(2009年製作の映画)
3.9
ホラーじゃない怖さ!
教訓も何もないけど、とにかくハラハラする展開続きで、終始映画にのめり込んでました。
そして、ラスト…見事にここまでの謎行動の伏線を回収してくれました。加えて、その意外性と、今までは「変な女の子」「やばめな女の子」って認識だったのが、ラストによって一気に明確な恐怖になった気がします…全ての変な行動にエスターの明確な意図が与えられたことで、もう恐怖です。正直、ホラーなんかよりも数倍怖かったです。夜中、電気消してねれませんでした…。笑

この映画、脚本もよく考えられてるのですが、舞台設定から衣装から…もうお見事なんです。雪深いところでの殺人…人形のように美しいエスター…綺麗だからこその恐怖も確実にありました。それに、その雪深さが映画の世界に(いい意味で)閉塞感を与えていて、エスターから逃げられないという恐ろしさが増してました。また、マックス役の子の、反抗はしないけれど睨んでる演技や必死に家族を守ろうとする演技も良かったです。彼女に関しては、聴覚障害という設定がよく効いてたと思います。彼女が訴えるなら、手話を理解してくれる母親以外にいないし、一方で音がない分銃声などには無反応でいられる。
そして何と言っても、エスター役の子の演技力の底知れなさ。お行儀良い素敵な女の子かと思えば、発狂したり、父親に抱きついてニヤリとしてみたり、全てを見透かしたような冷酷な表情をしたり…シスターアビゲイルを殺しちゃう後ろ姿なんて、およそ「少女」とは言えない姿でめちゃくちゃ怖かったです。最高級に怖かったのは、もちろんラストシーンですけど…。
落下してきた母親の下敷きになって死んだかと思ったのに、警官が入ってきたときにはいなくなってたシーンなんて心臓止まるかと思いましたもん、恐怖再びという感じで。
ストーリーとしては、幸せそうな(死産したこと以外)家族の過去や現在のあれやこれやの問題ごとが徐々にわかっていくのが良かったです、そのちょっとした隙間をエスターに利用されてしまうんですよね…今は蓋を閉ざしている問題が、悉くエスターの手によって開けられていきます。しかし、エスターの過去は本当にラストになるまで明かされません…だからこそ怖いんですよね。

サイコ?系の怖さで、すごく怖いんですけど、不思議とまた見たくなる…そんな作品で、好きな映画の一つになりました。

https://kazuhand2017.com/movie/anatherendingesuta/#seiki
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