カラン

刺青一代のカランのレビュー・感想・評価

刺青一代(1965年製作の映画)
4.0
50分と、Filmarksも日本語版wikiもなっているが、87分。英語版のwikiは87としている。


昭和の最初期。ヤクザ業を辞めたい男(高橋英樹)は、約束通り別のヤクザを暗殺して、仏様の彫り師の勉強中をしている弟の世話代を用意して、土地を去ろうとするが、逆に同じ組のヤクザに暗殺されかける。そこにやってきた弟が、兄をやろうとするヤクザを殺してしまう。。。



鈴木清順のチャンバラ映画。Z軸不在の横を意識させるショットを複数回ばら撒いてから、クライマックスで妖しい照明で色が変わる襖を、まっすぐ奥に奥に何枚も開けて進んでいき、いきなり視界に奥行きの風穴をあけて縦縦に突破していくのが、実に爽快。この横からの奥行きという視線の誘導と知覚の拡張は『ツィゴイネルワイゼン』(1980)でもやってるよね。ここでの照明も、弟が槍で斬られて噴き出さない血に呼応してた。この辺りは複雑なモンタージュがされていて、弟が斬られるところで、赤い照明が印象的な飲み屋なんだけど兄は娼婦とオープンフレームのカットバックで向かい合う/合わない。

土方の男たちは徒党を組んで囃し立ててくるが、有象無象というのではない。みんな表情があって生き生きしてる。こういうところは、ほんとに流石だなと。いきなり、「兄貴!」とか言い出しても、ぎりぎり納得できる。(^^)

ロケは時代考証とかされてるのか不明。大正3部作のものより風合いはだいぶ劣る。セットの安っぽさはわざと?っていう感じで、すすきを植えとけば何とかなるっていうやっつけ感。まあ、それもあっての照明襖な気もする。



レンタルDVD。画質は薄くなってると思う。オリジナルはもっと強い色だったのではないかと。55円宅配GEO、18分の4
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