ウェス・アンダーソンと聞いていなくても観ればわかる、というのが凄い。
お馴染みのビーチボーイズやストーンズのBGMにのせ、これまたお馴染みの左右対称の構図。小物や衣装がいちいち可愛いのももちろんで、どこを切り取ってもポスターに出来そうなデザインだ。
主人公はキツネで、しかも人形である。がしかし一つ一つの仕草や表情が素晴らしくって感動する。人形が涙ぐむ事を表現したのは素晴らしい。ストップモーションアニメーションという事を忘れてしまうくらいに感情豊かな動きに圧倒される。
実写の人間バージョンも観てみたいなあ。Mr.HUMANとかでさ。
ストーリーはズバ抜けて面白いかといえば、まあ普通というか、元ネタが絵本ということだけあって子供向けのわかりやすいものなんだけれど。まるで人間が悪者のように描かれているけれど、そもそも食べ物を盗んだのはキツネなわけで。(しかも理由が野生だから、って。かなり人工的な食べ物とか食べまくっているわけですが)でもまあ自然を壊して工場を作る人間がいけない、と言われればそうなんだけど。
ちゃっかりオチでもその人間たちの食べ物をまた盗み食いして踊り狂っていたのでそこまで深い意味なんてないのかもしれないけれど。簡単にいうとずる賢いキツネ、って話です。原作はどう終わっていたのかしら。海外でもキツネはそういう位置づけなのかしら。
主人公のMr.FOXがしばしトレードマークとしてやっていた「口笛吹いてチャッチャッ」というもの、トレードマークにしては何かいらっとくるものがあり、FriendsのジョーイのHow you doin'? やフルハウスのこれまたジョーイのCut it out! には程遠いトレードマークだった。
声優陣がジョージ・クルーニーやメリル・ストリープといった大物を使っていただけあってとても台詞がスムーズだったけれど、メリル・ストリープの声はちょっと落ち着きすぎていたのでは…。大人っぽすぎて、終始奥さんが嫌味っぽいキャラに見えてしまった。私だけ？
