モモモ

女が階段を上る時のモモモのレビュー・感想・評価

女が階段を上る時(1960年製作の映画)
4.0
モノクロ撮影が映える「夜の街」を舞台に、とにかく全てが上手くいかない水商売の女性を描く陰鬱な物語。
成瀬作品お馴染みのダメ男達が今作では拍車がかかり過ぎていて誰1人愛せない存在になっていましたね…。
とにかく性欲を隠しきれない、世帯持ちの、嘘つき中年。そんな中でまだ嘘はついてない仲代達也を最後まで選ぶ事はない主人公。
劇中で主人公は何度か階段を「登る」が、行動とは裏腹に気持ちは「下り」先行きは曇っていく。
物語が終わってみれば、身内を失い、結婚は出来ず、嘘をつかれ、店を持つ事もできない。何も前進する事はなく、身も心も商売に染まってしまう…なんて陰惨な敗北の物語なのだろうか…。
小さな店舗から始めた「独立した若い女性」も「狂言自殺」と同じ道を歩んでしまう気がしてならない。
職場にも家にも実家にも「居心地の良い場所」がまるでない、今後の展望にまるで希望もない、それでも彼女は階段を登り続ける。
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