この映画は、衝突で始まり、衝突で終わった(物理的な意味でも)。
多種多様な思想を持った人々が交錯し衝突する。上手く行ったり、行かなかったり。人間の力ではどうにもならないジレンマと、それゆえに生まれる尊さみたいなものを感じられた。
衝突を避けた主人公は何も変わらない人生を憂い、衝突に向かっていったチンピラ風の黒人はそこから人生の材料を学んだ。対象的に描かれているのが良い。
お気に入りは、件のチンピラがバスの窓辺に座り(ここ重要)、様々な人種が乗り合う様子を柔和な表情でねめ回すシーン。
暗くもあり、前向きとも取れるし、不思議な雰囲気の映画だった。