魂コシ

容疑者Xの献身の魂コシのレビュー・感想・評価

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)
4.6
「究極の愛」とはこの映画のことを言うのではないかと思う。ここまで後半でガチ泣きした作品はほとんどない。

TVドラマシリーズの劇場版ではあるけれど、TVシリーズを観ていなくても十分楽しめる。過去の話は全く出てこないので予備知識は必要ない。
このシリーズの主な見所は、「超常現象のように思える怪事件が科学の知識で解明されていく点」だけど、今作は「人間の感情が深く描かれている点」でTVシリーズと大きく異なり、作品として価値が高い。
そういう意味では、TVシリーズしか観てない人にとっても十分楽しめると思う。

もう一つ大きな見所は、堤真一は明るい人物を演じる事が多いけど今回は正反対の暗く悲しい天才数学教師・石神を演じていること。今作で「堤真一はホンモノの役者だ」と心の底から思えた。私は、今作の本当の主人公はこの石神だと思っている。
そして松雪泰子演じる花岡靖子は容姿だけでない心の美しい女性の悲しい殺人。「解決しても誰も幸せにならない事件を解決する」という本当に悲しく切ない映画。

そして主題歌が合いすぎる。


再鑑賞メモ2022/09/25

「記憶を消してもう一度観たい映画」たまにあるが『容疑者Xの献身』は正にそれ。なんならタイトルも知らずに観たい。
自分は、初観覚えてなくて気づいたら好きなってた。石神と湯川の関係。中盤ホラーっぽさ(石神と監督両方に騙された)。トリックと各キャラ感情の揺れ。どれも凄い、知らずに観たい。

久しぶりに観返してグッときたのは、序盤久しぶりに石神が湯川と再開するシーン。お互いに天才で友人、数少ない理解者。なのに約20年ぶりの再会で環境地位が天と地の差。おそらく石神は、心の底から楽しく人と飲んで話すの超久しぶりだったんだろうなぁ…と。

この映画の感想、石神の愛ばかり語られるけど(私もそうだった)、湯川との友情も尊い。
お互い強敵と認識しながら、それ以前に親友である事の重み。L(竜崎)VSキラ(ライト)とはまた違った天才同士の悲しき友情関係。
湯川が石神の唯一の理解者だからこそ事件解決できたけど、だからこそ湯川には辛い。
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