みやび

容疑者Xの献身のみやびのレビュー・感想・評価

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)
3.9
「献身」…とても良い表現、言葉。
これはただ単なる恋愛の話ではない。自分のこれからの時間、この身全てを捧げ、一人の女を愛した天才数学者の話なのだ。
食い入るように物語にのめり込み、まんまと私も騙された。これはアリバイのトリックだと。
事件が起きた12/2のことなのだと。
思い込みからくる単純なひっかけ問題。石神はそれをずっと言っていたじゃないか。
ラスト、花岡との別れのシーンで「どうして…どうして…」と泣き叫んでいたが、私にはわかる。「どうして俺のことなんか…」と言いたかったのだ。身を捧げて守り抜くと決めた女が、自分と共に罪を償うと言っている。「どうして俺のことなんか…」の先には、「気にかけてくれるんだ」「思ってくれるんだ」「愛してくれるんだ」そう言いたかったのかもしれない。

冒頭での湯川と内海のやりとりで「愛は物理的に証明できない非科学的論理だ」というシーンがあったが、まさにこのラストに繋がるヒントだった。石神が証明してみせたのだ。殺人という間違ったやり方にはなってしまったが…

堤真一さんの演技がすばらしかった。
2回目の鑑賞でしたが、1回目は忘れていることもしばしばあったけどやはり東野圭吾作品は良いですね。
みやび

みやび