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刑務所の中のmylifeのレビュー・感想・評価

刑務所の中(2002年製作の映画)
4.2
もう一度観たかった「刑務所の中」を超久々に再鑑賞してみた。崔洋一監督の作品。監督作品の「血と骨」や「クイール」とはかなり雰囲気が異なる印象だ。

主演は山崎努。この人も、いぶし銀のような演技をする俳優。その存在感だけでも個人的には満足度が上がってしまう感じだ。

更に脇を固めるメンバーが味わい深く雰囲気のある布陣。香川照之、田口トモロヲ、松重豊、村松利史の4人と同じ独房内で暮らす。それぞれのキャラが立っていて何とも個性的だ。

その他のキャストでは存在感たっぷりの大杉漣。あと、ちょい役やけど椎名桔平や窪塚洋介も出ていたのを完全に忘れていた。森下能幸や木下ほうかも登場。余談やけど冒頭にある刑務所の外のシーンで遠藤憲一も出演していたと言う知られざる事実。

さてと、本作は刑務所の中の様子を描いた映画。まず、普通の一般人には分からへん刑務所の中での雰囲気が楽しめるテイスト。今の刑務所もこんな感じなのかな…そこまで、気になっている訳ではないが少しばかり気になっているような素振りをしてみた。

それにしても、食事するシーンが多い。比較的、質素な食事やけど何だか、めっちゃ美味しそうに思える。山崎努の心の声がナレーション代わりで随所に呟いてくる。

「しかしまぁ、毎日毎日忘れもせず飯をくれるもんだよなぁ」

妙に記憶に残った山崎努の心の声。確かに、悪いことした犯罪者なのに毎日、無料で食事を提供してもらえるのは…ある意味で優遇されているような錯覚をおこす。これなら天王寺付近にいるようなホームレスの方が生活レベルはかなり下なのだ。

ともかく、本作は刑務所内での、いじめとか…厳しい教官の存在とか嫌悪感のあるようなシーンは一切ナッシング。刑務所なので規律正しいが、何処かほのぼのと進行していくのは逆に新鮮味があるかのよう。

映画鑑賞会までやっている。受刑者が飢えている甘いお菓子とジュース付きなのが堪らないご褒美だと言うのもみてとれる。しかも、観ていた映画が「キッズ・リターン」とは良いチョイス。前向きな終わり方が受刑者には相応しい内容だとも感じた。
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