たか

聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-のたかのレビュー・感想・評価

5.0
 山本五十六の事は多くを知りませんが、あのような死に方をしてたんですね。長岡出身で、(私と同じ)奥羽越列藩同盟の地のため、親近感を持っていました。
 そう言う意味もあって、作品の中で、山本五十六と同郷(長岡)の零戦パイロット・牧野幸一が、薩摩と長州出身の部下パイロットを仕込んでいるシーンが、何とも印象的でした。この組合せはフィクションっぱいですけどね。また、洋上上空での戦闘による爆煙がとてもリアルでした。まだ特攻隊のない時代に、特攻していく姿にも涙が潤んでしまいました。
 世論とマスコミに関する内容もあり、マスコミの暴走や、世論の無責任さなどもわかりやすく表現されていたと思います。本当の真実を見定める事の難しさも強く感じました。この辺は、あの時代に限らず、人間社会の永遠の課題かもしれません。
 大東亜戦争初期の「戦争は海の向こうでやるもの」と言う感覚と、講話のキッカケを求めて戦い続けていた山本五十六が、何か別次元の話のような感覚を持ちました。幸か不幸か、当時まだ残っていた武士道精神が、国を造り戦争を導いたのだと思います。
 ただ現代では皆無になってしまった武士道精神、いい意味でこれを復活させないと、戦争は起こらないかもしれませんが、心が死んでいる状態の日本から抜け出せません。色々考え込んでしまいました。
 さて、キャストを見回すと「坂の上の雲」を観ているかのようです。阿部寛も柄本明も、ここでは陸軍ではなく海軍なんですね。香川照之は偶然にも新聞社絡みが共通など、そんな比較も面白いです。そういえば山本五十六は、今月のNHK土曜ドラマ「真珠湾からの帰還」でも永島敏行が演じていましたね。なんか意図的にタイミングが合っているような気がします。
 歴史的な流れも説明してくれているので、歴史が苦手な人でも、明治維新辺りからの流れがちゃんと理解できると思います。こういう作品は多くの人に観て貰いたいです。その場限りの楽しい作品も良いのですが、しばらく心に居続けるような作品は自分の糧になります。
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