乗員乗客131人が死亡した列車脱線事故。しかし唯一、一人だけ無傷で生き延びた男がいた。
唯一の生存者デヴィッドは遺族やマスコミの注目から逃れるように家に戻り、慕ってくる息子や距離を置いて家庭内別居している妻との静かな生活に戻る。
ある日犠牲者の追悼式に参加した帰り、車のワイパーに手紙が挟まっているのに気付く。
"今までの人生で何日間病気になりましたか?"
なんとなく気になってスタジアム警備の仕事の上司に掛け合うと、昇給の交渉だろ?上手いな、5年間病欠なしだ と言われ、家に帰って妻に尋ねるも戸惑いながら覚えがないと言う。
手紙の便箋にあったギャラリーへ出向くと、"骨形成不全症"という病気のせいで幼少期からすぐに骨折する脆い身体を抱えて大人になったMr.ガラスとあだ名のついた男が、自分のような人間がいるのならその真逆の病気にもならず怪我もしない人間がいるのでは と考えて接触して来たのだった。
ってお話。
めちゃくちゃ久し振りに再視聴。
冒頭、電車に乗ったブルースが美女がやってくるのにそっと指輪を外して独身の振りをしながら話し掛けて、結婚してるの 席移るわね と敢え無く距離を取られる始まり。
あれ?こんなんだっけ…こんな惨めな感じで始まるんだっけ?と思いつつ、事故の起こる前兆っぽい謎の振動から、病院で医師が唯一の生存者でかすり傷一つないブルースに信じられないような目を向けるシーンに移る。
全体的に、凄く地味~な作品だったんだなぁって。
病気をした記憶がない、事故に遭っても怪我もしない。
今まで自覚していなかったけれど、地下の筋トレでは重りを全て使って最終的に180kgも持ち上げられる。
調べた所によると競技者はもっと持ち上げるらしいけれど、元アメフト選手だと言っても競技として訓練していた訳でもないのに中々のパワー。重りがなくなってペンキ缶を4個ぶら下げていたけれど、何処まで上げられたんだろう。
そんな端々のちょっと凄いんじゃない?感が引っ張られ、Mr.ガラスの話に感化された息子が銃を持ち出すシーンはちょっとドキドキする。お父さんは超人で撃っても死なないんじゃないかって思ったんだろうけど、なんとか母親と2人で説得して止めさせる…んだけど、実際撃たれたらどうなってたんだろう。
昔自動車事故で怪我をしてアメフト選手を諦めて妻と結婚したってエピソードは、本当は怪我なんかしてなくってアメフトを引退して妻と結婚する道を選んだ ってだけだった。なんで辞めたかったのかは分からん。
妻と家庭内別居になっていたのも、意図的に距離を置いていて、朝起きるとなんか少し悲しいかららしい。
Mr.ガラスによると、超人としての役目を果たしてないからじゃん みたいな事らしい。
息子が銃で…!のシーンを除くとほんとに地味。
警備員として働いているけれど、なんとな~く面倒を起こしそうな客が分かる と言って一人の客に注目させ、ボディチェックを始めさせるとそいつは列を抜けて行く。銃を持ってたんじゃないかな とMr.ガラスに話すと、杖をついているにも関わらず追跡した結果、そいつがブルースの言った通りの銃を持っているのを確認するものの階段から落ちてポッキポキ。めちゃくちゃ骨折れる。
リハビリセンターで働いている妻にも色々話して、Mr.ガラスはブルースが超人だと確信する。
そうかも…って思ったブルースは雨合羽を着て姿を隠しながら駅で立ち尽くし、触れた人間が罪を犯したシーンをビジョンとして見ながら、"家が気に入った"と言ってその家の主人を殺して勝手に住んでいた男を追跡して撃退する。
唯一、息子が友人と喧嘩をしたと言って小学校に出向いた際にブルースも記憶していなかった先生から聞いた、少年の頃にプールで溺れて入院した というエピソードから超人だけれど水にだけは弱い という弱点に合致するように戦いの最中ビニールシートで覆われたプールに落ちて溺れるものの、先に助けておいたその家の子供たちに助けられ事なきを得る。顔も隠しておいたから世間にもバレずに、翌日の新聞には謎の男が押し入って母親と子供を救出したニュースが載っており、その新聞をそっと息子に差し出して母には内緒にするように合図する。
Mr.ガラスに報告しに彼のギャラリーで出向くと、目覚めの悲しみを埋めてくれた彼が手を差し出す。その差し出された手を握り返すブルース。
その瞬間、"その人物が犯罪を犯した瞬間"が流れ込んでくる。
"唯一の生存者"があった大事件で引き合いに出した、空港で飛行機が爆発した事件も、火事により多くの死傷者を出したホテルの火災も、そしてブルースが乗っていた列車を事故に遭わせたのも全て彼がブルースを探すために起こした彼の犯罪だったのだと知る。
部屋を見渡すと、それ以外にも沢山の新聞記事やこれから行うであろうまた大量の人間が死ぬかも知れない作りかけの謎の装置が置かれている。
"自信の生きる意味、目的"の為に、遥か昔にすぐに怪我をする為に外に出たがらない自分にヒーローコミックをプレゼントしてくれた母親。自分がそれに成れなくても、その超人を見出す事が出来るのでは?と考えたのだろうか。
自身の身体がこんなにも脆いのは、対局にある誰かが存在する為である と夢中になったヒーローコミックから考えを得た男は、超人とは正反対の自分が"悪役"に相応しい と考えて行動に出たのだった。
ブルースは分かり合えない相手を通報。
Mr.ガラスは重度精神病者施設に送られて終わり。
超人か…?どうなの?コミックのヒーローなの?って辺りに大きく時間を裂き、超人かも…と思ったブルースがこいつ犯罪者じゃん!と目星をつけた家勝手に住み男をあんまり超人感もなくボカ~っとして…エンディングへ。
超人アクションみたいなのは全然ない。むしろ、話の上だけで病気…?怪我…?まぁないかなぁ…みたいなシーンが非常に多くって、これまた話の上でだけ昔溺れたなぁ~水に弱いのかなーみたいな。
そう言った意味で地味な作品なんだけれど、生まれながらの完璧超人で洗練潔白、使命感に満ち溢れて日々スーパーパワーで人々を救いまくる!みたいなテンションじゃなくて良かったと思う。
日常に埋もれた居るかも知れない超人を炙り出す為に数百人、それ以上を殺したMr.ガラスが根拠にしたモノが、ヒーローコミックは真実!って言う…それこそブルースの妻が言う長い事病を患って精神がおかしくなってしまった男の唯一の功績…と、言って良いのかも分からないそれだったのは良かったなぁって。
ヒーローコミックは人間の集合知!真実が!みたいな思想からしてもう頭がアレしちゃったんだなぁって感じなんだけど、たまたまほんとに超人がいた!って話なんだよなぁ。
でも、あれだけ超人に憧れながらも自身の病から悪人側にしかなれなかったMr.ガラスもまた悲しい存在だなとも思う。ちょっと強くなにかに当たっただけで うわぁぁぁ(ポリポリィ!)ってなっちゃうからな…病む事もあるよな…。
捻ったヒーローモノとしてわたしは結構好きかも知れない。
期待の選手だったアメフトを当時の彼女である妻と結婚するために諦めたのに、その人すら遠ざける謎の悲しさ とやらはちょっと理解出来なかったんだけど、超人にも超人の悩みがあるのかなあ。