神保町シアターの『生誕110年 女優・杉村春子』特集で鑑賞。
成瀬巳喜男監督の映画だが、なかなか観られる機会が少ない作品なので、超満員だった。
主演が、杉村春子&沢村貞子&細川ちか子&望月優子という小津作品・成瀬作品などの数々の名作で脇役をつとめる年配の女優(当時)ばかり、ということからして珍しい。
高利貸しを営む女(杉村春子)は過去に様々な男性遍歴を重ねてきたが、現在は男の気配もなく、貸した金を取り立てて、儲け話を慌てずに考えるという生活をしている。
冒頭、いきなり札束を数える杉村春子の姿がピッタリとハマっている場面が素晴らしい。
そして、元芸者仲間(沢村貞子、細川ちか子、望月優子)は金を杉村春子から借りる立場で、彼女たちのグチが笑える。
そんな高利貸し女の元に、かつて熱愛した男(上原謙)が訪ねてくるという手紙をもらってから、楽しみにしていた高利貸し女であったが、再会してみると、かつての漲るエネルギーが無くなった男の姿が侘しく、しかも、金を借りに来たということでシラケる高利貸し女。
素晴らしい成瀬巳喜男監督映画、杉村春子主演作品を観ることができて嬉しい。