晩菊の作品情報・感想・評価

「晩菊」に投稿された感想・評価

2016年4月10日、神保町シアターの『生誕110年 女優・杉村春子』特集で鑑賞。
成瀬巳喜男監督の映画だが、なかなか観れる機会が少ない作品なので、超満員だった。


主演が、杉村春子&沢村貞子&細川ちか子&望月優子という小津作品・成瀬作品などの数々の名作で脇役をつとめる年配の女優(当時)ばかり、ということからして珍しい。

高利貸しを営む女(杉村春子)は過去に様々な男性遍歴を重ねてきたが、現在は男の気配もなく、貸した金を取り立てて、儲け話を慌てずに考えるという生活をしている。
冒頭、いきなり札束を数える杉村春子の姿がピッタリとハマっている場面が素晴らしい。

そして、元芸者仲間(沢村貞子、細川ちか子、望月優子)は金を杉村春子から借りる立場で、彼女たちのグチが笑える。

そんな高利貸し女の元に、かつて熱愛した男(上原謙)が訪ねてくるという手紙をもらってから、楽しみにしていた高利貸し女であったが、再会してみると、かつての漲るエネルギーが無くなった男の姿が侘しく、しかも、金を借りに来たということでシラケる高利貸し女。

素晴らしい成瀬巳喜男監督映画、杉村春子主演作品を観ることができて嬉しい。
紫色部

紫色部の感想・評価

3.5
2017.8.4 神保町シアター

時の流れ、金の流れ。人が金を動かし、金が人を動かす。ひたすら地味で汚らしい(失礼!)話なのに、ユーモアとシリアスが入り混じった絶妙な話運びと、ラストにおける爽やかな着地・余韻との塩梅がただただ素晴らしくて泣きそうになったし、昔の恋人に隠れて支度をしている杉村春子が襖を開けられた際に漏らす声の甲高さや、近くを通ったハイカラ女のモンローウォークを真似る望月優子の歩き方もたいへん微笑ましかった。
takandro

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4.2
昭和も平成もやってること変わんないな。自分と自分の家族を見てるようなところもあって嫌いな映画。駅を行き交う人、人人。
roland

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-
悲しくもこれまた金銭が物語を進める。ラストの駅、画面左奥、ホームへと続く階段の神秘。男が強い弱い、女が強い弱いのレベルの話ではもはや図ることのできないなにか。
tokio

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4.1
Rec.
❶17.08.03,神保町シアター/神保町シアター総選挙2017
成瀬デビューしました。好き。確かに家庭が主な舞台であること、人物の正面っぽいショット、室内の構図、人物が出入りする様子、などは時折小津っぽいけど、小津が私的・崇高で確固たる世界観を描くことに徹していることに対し、成瀬はだいぶ肩の力が抜けていて気楽に観れる。とはいえ日常的なひもじさの描写には妥協がない。編集や人物・視線の動きなど、映像の流れもかなり滑らか。本作は心の声多め。

元芸者で、今は家庭を持たずゆとりを持ちながら金の貸し借りや不動産を転がしつつ、聴覚障がいを持つ女中(鏑木ハルナ)と暮らすおきん(杉村春子)の気高さ!ストーカー気質の昔の男・関(見明凡太郎)や結局は金の無心が目的の田部(上原謙めっちゃイケメン)といっただらしない男性陣との対比、加東大介の即席手話にぽかんとする女中、芸者仲間の娘・有馬稲子の美人さと、見どころ盛りだくさん。ちんどん屋が近づいてくる。

2017/7/29 神保町シアター
望月優子は挙動や言動まで全て面白くチャーミングだし、細川ちか子は気品溢れる演技で成瀬が描く作品に見事にハマっているし、杉村春子は所々若返っているしで楽しかった。あと加藤大介って沢村貞子の弟なんだね。強いな。
いしの

いしのの感想・評価

4.5
おそらくは平均年齢が75歳を超えていた神保町シアターでの鑑賞。

とにかく金の話ばかりで気の滅入るような映画なのだが、
成瀬映画特有の光の柔らかさ、視線の交錯、小気味良いシーンの転換は楽しい。

ユーモアを含めてところどころ目の覚めるような演出がある。

ハンサムな昔の恋人の訪問に、手早く氷を砕いて顔を冷やす、杉村春子扮するおきん。
そのおきんが写真を焼き捨てると突然降り出す雨。
その音の中で、酒のためにすでに頭の呆け始めている昔の芸者仲間が便所の入口を間違える一連の場面なんか。

監督の冷徹な視点とリズム感とバランス感覚に感じ入る。

ちなみに、僕にとっての5点は稲妻とおかあさん。
「開館10周年特別企画 神保町シアター総選挙2017」(成瀬巳喜男特集)
@神保町シアター
あかぎ

あかぎの感想・評価

4.6
心に沁みた。お金の貸し借りの話ばっかりなんだけど。
たまえの「子どもがあってよかった」という言葉には胸を突かれたし、とみのモンローウォーク、あれは名シーンだった。耳の聞こえない女中も何か印象に残るものがあった。
杉村春子の主演の据え方も見事だと思った。
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