公開時に見てるんだが、和泉聖治作品だからというよりは、岩城滉一のアクションものだから、というのが勝っていた。
どこかの批評で「ツメの甘い映画」と書かれていたがその通りで、なんというか、奥山和由=松竹富士が作ったセントラル・アーツ作品みたいな、そんな感じだ。沖縄を舞台にしていて、佐木隆三の原作は未読なので差異がどれくらいあるのかは知らんが、脚本も監督が書いてて、しかもラストシーンが後の「修羅の伝説」(こちらは東映/小林旭主演)に転用されているので、これは監督のお気に入りだったんだろう。
前半のバイク転倒からの襲撃シーンや中盤の銃撃戦は結構見せてくれるが(ガン・エフェクトは納富さん唐沢さん。コルト・ガバメントがかっこいいです)、活劇が躍動しない。ヒロインの安田成美ももっさりしていて、この辺りに松竹っぽさがある気もする。
だからと言って嫌いかというとそうでもない。
脇や特出で室田日出男、萩原健一が出ていて、特にショーケンはお話にそんな影響を齎さないのに芝居が粒立っている。この頃よく見た米山善吉、小沢仁志も出ています。
撮影はずっと和泉聖治と伴走していた佐々木原保志が担当し、エッジのたった画を見せてくれる。
チーム・オクヤマへと続く奥山和由のプロデューサーとしての習作といった感じだ。
ミリオン系のピンク映画監督で、父も木俣堯喬という和泉聖治の、なんでもソツなく撮れる技量は、のちに「東映ニューやくざ映画」へと転生していく。誰が「相棒」だ代表作になると思うよ?ねぇ。