アキラナウェイ

アマデウス ディレクターズ・カットのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

4.7
【恥ずかしながら初めて(ちゃんと)観ます名作シリーズ】

第54弾!

昔、親が観ていたのを横でチラ見。
「ラリー・フリント」、「カッコーの巣の上で」と個人的に鑑賞が続いたミロス・フォアマン監督作と知って、俄然観たくなったものの自分のサブスクラインナップでは無料配信がないので、GEOでレンタル。

3時間にも及ぶディレクターズ・カット版。しかし、その面白さに惹き込まれて、長さは全く気にならない!!

いや、映像で観れる我々はまだ良い。
誰が可哀想って、主人公サリエリの回想を神父が聞くという設定の中で、最後まで話を聞いてくれた神父な!!「休憩しよう…」って言ってるのに、サリエリが「大丈夫だ」って言うの、ワロタ。いや、神父の方が大丈夫じゃないんだって!!

1823年11月。ウィーンの街で自殺をはかった老人、アントニオ・サリエリ(F・マーリー・エイブラハム)が、モーツァルトを殺したのは自分だと半狂乱になって叫んでいる。後日、神父フォーグラーを相手に、サリエリはかつてヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(トム・ハリス)と過ごした日々を回想し、語り始める—— 。

昔観た時も思ったけど、モーツァルトってこんなにぶっ飛んでいたの!?

周波数高音域のあの笑い声!!
これはクセになる…!!

奔放で女好きのパーティー好き。
下品で浪費癖があって礼儀知らず。
神童として知られる程の音楽の才能に恵まれつつ、その中身はかなり破天荒。
トム・ハリスが生き生きと演じる。

そして、彼の天賦の才を嫉妬の念に駆られながら苦々しく見つめる男、サリエリ。F・マーリー・エイブラハムの愛憎を込めた演技が素晴らしい。

蝋燭の炎のみに拘った屋内撮影も、古き街並みが残るプラハでの屋外撮影も、豪華絢爛な宮廷内も、衣装も、もちのロンで音楽も、何もかもが最高レベル。

ラテン語のamadeusとは、"神に愛された者"。

誰よりも神を愛し、神に愛されたいと切に願ったサリエリ。モーツァルトの才能を妬み、羨み、憎むと同時に愛した男が、やがて神をも呪う。

執念にも似た彼の想いは、あらゆる策略をもってモーツァルトを追い詰めていく。

終盤、病床に伏したモーツァルトが、サリエリの協力を得ながら作曲し、譜面を仕上げていくシーンは圧巻の一言。鬼気迫る緊張感に魂が揺さぶられる!!

天才と凡庸。

いや、凡庸と呼ぶにはサリエリだって音楽の才に満ちていた筈。サリエリの不幸は、天才を聴き分ける耳があった事だろうか。

アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、美術賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ賞、音響賞の8部門を受賞したのも納得の超大作。必見かと。