南森まち

アマデウス ディレクターズ・カットの南森まちのレビュー・感想・評価

5.0
サリエリが宮廷音楽家を務めるオーストリアに、ある天才音楽家が現れる。その才能を恐れたサリエリは、彼を陥れるのだが…というお話。

ご存知、モーツァルトを描いた作品。ホットペッパー誌のTVCMに使われたアレといったほうが馴染みのある人もいるかもしれない。

3時間の長丁場の映画だが、難しいテーマを非常にわかりやすく練り上げられた素晴らしい作品だった。

モーツァルトは好色で傲慢、野卑なおとこだった。彼に天賦の才能を与え、自分には「モーツァルトのスゴさを理解する程度の才能」しかないことで、信心まで捨てさるサリエリ。そしてサリエリの思惑以上に落ちぶれていくモーツァルト。
当時では新し過ぎる彼のアイデアは、古典的手法を重視する宮廷音楽では奇妙なものとして認められなかった。たったひとり、サリエリを除いて。
対照的だがともに病んでいく彼らは、音楽を通じて愛し憎しみ合う…。

音楽、演出、演技すべてセットすべてが一流。
そしてクライマックス。積み上げてきた愛憎からの、最後の20分の二人のやり取りに感動しました。

危機師にまさる名作でした!サリエリ役のF・マーリー・エイブラハムが巧すぎで見入ってしまう。