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ミスティック・リバーのmのネタバレレビュー・内容・結末

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

デイブがベイスン通りに行ったのは少年を買おうとしたから。だけど売春を実際に目の当たりにして過去のトラウマが蘇ったのと自己嫌悪で少年を買っていた小児愛者への殺害に至った。

という解説を読んでショックで吐きそうになった。少年時代に大人から性暴力を受けたことによって心を壊されたデイブが、それが原因で性的倒錯に陥る。それだけでも最悪だし、例の吸血鬼映画を観るまで、何に苦しめられてるのか自覚することすら困難でその心の傷を上手く言葉にすることもできず、誰からも救いの手を差し伸べられることなく心が孤独なまま何年も生かされ続け、最後には勘違いで殺される結末に心底絶望する。神さま、デイブが生きてきた意味を教えてください。

夫が殺人犯だと知りながらそれさえステイタスのように語る妻アナベス。十字架の指輪と背中の十字架。半グレなのか何なのかわかんない兄弟。最後の指鉄砲。全部不気味。レイの父親を殺して川に捨てたジミー。償いからか養育費を毎月振り込む。そのお金で育ったレイ。そのレイに殺害されたジミーの娘。将来娘を殺す悪魔を間接的に育ててたことになる。因果応報とは言えない。娘には何の罪もない。

家族愛が動機ならお咎め無し→お国のためなら何をしても許されるという自国(アメリカ)への痛烈な批判を暗に揶揄しているという解釈をみてなるほど思った。だからジミーが罰を受けるのはこの映画としては「ナシ」なんだ。

だけど、父親を殺された幼い息子。なにより幼い頃の性的虐待によって人生を破壊されたデイブの目線で考えるとこのラストはどう考えても胸くそわるいし、心が引き裂かれる。良く出来た作品なんだろうけどいい映画だとは思えないし思いたくない。監督はそれを意図してこの映画を作ったんだと思うから大成功だと言える。
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