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真珠の耳飾りの少女のざくろのネタバレレビュー・内容・結末

真珠の耳飾りの少女(2003年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

映像にも拘りがあるのが分かる。まさに絵画の世界のように、光や色に視点が当たっていて、鮮やかに、clearに見える。
服や建物の色の基調が黒、茶、白、ベージュだからこそ、野菜、顔料、料理などがより鮮明に映えて美しい。

歴史的な面で、冒頭を始め、料理や家事のシーンが多いことから、現代と比べ生きること=生計の時代であるからこそ、誰もが目の前のことに真剣であることが窺える。他にも時代特有とも言える、身分の差と理不尽さ、奉公人に対する嫌がらせ、悋気に敏感でヒステリックな奥様、噂好きの町人たち...生活感も合わせて描写されることで、より生き生きとしいているように見える。法的な身分の無い時代、国に生きる若者だからこそかもしれないが、身分差による理不尽さには、本当に腹が立つというか悔しくなる。

若きCillian Murphyが美しい...Colin Firthは発音と声が最高なのに、中世風の髪型まで似合ってしまうなんて!

検索して、改めて作品をじっくり観れば観るほど表情が謎めいてくる。少し口角が上がって快活そうにも見えるし、何かを問いかけているようにも見える。絵画には全く詳しくないが、元々持っていた絵の印象とは異なった。映画では(作品の印象に介入し過ぎないための配慮なのか)しかめ面や無表情が多かったため、年齢のわりに大人びた部分もある少女の印象を受けた。椅子の塗り潰しも、二人が同じ世界を"見"ている証のように描かれており興味深い。それらの点はモデルも背景も謎めいた作品から着想を得た、小説が原作だからだろうか。一方で、映画の彼女は、五感において豊かな感性を持っており、少し羨ましい。

当然スマホやテレビも無く、基盤のほとんどが木や石や自然由来の時代。だからこそ、目に映る色や光は自然そのもの。観賞後、いつもより世界が美しく見える気がした。
いつか...本物を自分の目でみたい。
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