佐藤克巳

新道 後篇良太の巻の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

新道 後篇良太の巻(1936年製作の映画)
5.0
田中絹代と最も息の合う五所平之助監督とのコンビ作でも松竹時代最高作となった、菊池寛原作の長編通俗映画の傑作。信州で療養中の母吉川満子を見舞いに行く途次、田中と妹高峰秀子は、グライダー飛行家佐野周二と出会い、田中と佐野は立ち所に熱愛に発展するが、養女姉川崎弘子は、恋人画家佐分利信が渡仏の為品川駅での別れ。外務省高官父斎藤達雄は部下で外務大臣の息子を田中にと願うが、田中は佐野の子を宿し、電話ボックスで佐野に伝えようとしたが墜落死を知り路上を彷徨う。前篇の終わり。後篇は、一転して佐野の弟上原謙が田中の前に現れ、産まれる兄の子の将来を案じ契約結婚を申し出る。上原は家を借り通い婚を貫く中、田中が出産し上原の母岡村文子が訪ね孫を抱き上げ同居を許す。一方、川崎は田中の後釜に見合いが進行し、帰国した佐分利の展覧会で別れを告げ円タクに乗る。それを目撃した田中は、車中で川崎と対比しながら佐野への思慕、上原は時期を待つと清々しく語るのだった。
佐藤克巳

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