猫脳髄

何かいいことないか子猫チャンの猫脳髄のレビュー・感想・評価

3.6
(2023.2.18 再鑑賞)
ウディ・アレンの映画初脚本&出演の記念すべき作品だが、本人はいたく気に入らなかったようだ。

ピーター・オトゥールにピーター・セラーズ、ロミー・シュナイダー、キャプシーヌ、ウルスラ・アンドレスとスターが揃い、主題歌はバート・バカラック&トム・ジョーンズと綺羅星のごとくである。「007/カジノ・ロワイヤル」(1967)も手がけるアニメーターのリチャード・ウィリアムズによるタイトルも印象に残る。

しかしウディの脚本はカケラくらいは残っているようだが、まったく別モノ、それぞれが好き勝手に演じるチグハグが目立つスラプスティック・コメディに仕上がってしまった。主にセラーズの口出しと悪ノリしたオトゥールに原因があるらしい。

それでもそれなりに楽しいコメディではある。事実興行成績は大当たりだったようだ。ロミーは文句なくキュートだし、セーヌ河畔での英米を代表するコメディアン(セラーズとウディ)同士の掛け合いも貴重な見どころである。

これに懲りたウディが監督・脚本のコントロール権を死守することを誓い、数かずの名作が生まれることになった。まさに怪我の功名的作品である。
猫脳髄

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