あんじょーら

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまでのあんじょーらのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

正直この映画の宣伝では全く何も感じなかったのですが、レンタル店で見かけたときに気になったのはサム・メンデス監督作品だ、ということです。なので借りてみました。やはり「アメリカン・ビューティー」は傑作だと思うのです。


1950年代のアメリカ、ダンスパーティー会場の雑踏のように人で溢れる中で視線が絡む男フランク(レオナルド・ディカプリオ)と女エイプリル(ケイト・ウィンスレット)。しかし、幸福そうに見えたすぐ後、いきなり今度は妻の演劇の会場に写り、なにやら不穏な空気が漂い始めます。2人子供も生まれて郊外のレボリューショナリー・ロードに面したこじんまりした(という表現を使っていますが、実際は私の感覚からすると広い!)家に住み始め、フランクは電車で街まで通い、エイプリルは主婦をして暮らしていますが、その暮らしには陰が見え隠れしていて・・・という冒頭です。


これはあるカップルがダメになっていく過程を非常に克明に追った作品です。最初は誰でも幸せを感じる特別な相手が徐々に色あせ、しかし生活は続き、それでも何かしらの共同幻想にお互いが酔えるのか?という厳しくもリアルな現実を突きつけてきます。どんな人でも、付き合い始めのあの高揚感がずっと続くわけではないことを理解していると思います。だからこそ、生活のルールがあったり、ささやかな喜びを何処にお互いが見出していくか?は重要なことだと思いますが、その幻想をこの2人はパリに求め、そして・・・なのですが、大変深く突き刺さる映画でした。


やはり、サム・メンデスは凄かったです、一瞬ラブロマンス的パッケージのDVDですが、そんなはずないですよね。
しかし、ここまでパッケージを『ラブロマンスですよ~』と言わなければいけないなんてちょっと欺瞞でしょうし、はっきり言ってどうなんでしょうか?もっと深いお話しですよ、夫婦の危機を扱った作品です、と正直に宣伝した方が良かったのではないでしょうか?ヒットしたのかどうかも知りませんが。
でもカップルで見るのは非常に危険な気がします。


オトナな男女のみなさまにオススメ致します。



アテンションプリーズ!!
ちょっとだけ、ネタバレあり、です。


















少し変わった登場人物、精神病院に入院しているある男の台詞が痺れます。

「虚しさは誰もが感じるが、絶望を感じるには勇気がいる」

非常に響く言葉でした。作品が1950年代を扱っているのですが、だからこそのタテマエのようのものにほぼ全ての登場人物が縛られている中、この精神病院に入院している男だけが、真実の重みある言葉をストレートに投げかけてきます。だからこそ精神病院に入院している、ということなんでしょうけれど。で、その役者さんがめちゃくちゃに上手い!『それを言っちゃ・・・』的発言を空気を読まずに投げかけるタイミング、目つき、態度や雰囲気に至るまで、非常に説得力あります。ディカプリオもウィンスレットも完全に負けてますね。