青二歳

草原の子テングリの青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

草原の子テングリ(1977年製作の映画)
2.4

このレビューはネタバレを含みます

シンエイ動画第1作。雪印乳業プロモーションアニメ。原案手塚治虫、作画監督大塚康生。チーズが生まれた伝承のお話。
菜食主義は個人の自由なので尊重しますが、肉食を感謝ではなく罪深いものとして扱うのは苦手です。愛玩動物と経済動物が重なれば、自分も呵責の念に責め苛まられるでしょうから、テングリの葛藤は理解しますけども…なんか村人が悪人みたいだし。
僧侶は象牙乱獲者みたいで悪者感タップリで勧善懲悪と言ったところ。こういう人を悪者として描くのは児童アニメとして分かりやすくて良いと思いますが…肉食を悪とするのはなぁ…

【あらすじ】
中央アジアのどこか…この集落では食べ物のなくなる冬は牛(乳牛なのか肉牛として飼育しているかは不明)を食うらしい。テングリ少年はタルタルという仔牛と兄弟のように育つ。しかしある冬ついにタルタルが食べられることになり、テングリはタルタルを逃してしまう。
長じたテングリは立派な牛追いになり、冬の飢えを逃れるため男たちと共に牛を求め馬を駆る。そんなある日神牛さながらに成長したタルタルに再会する。再会を喜ぶテングリにタルタルは問う「なぜ牛を殺すのか」と。「飢えのためだ、仕方ないのだ」と答えるテングリに、タルタルは肉を求めなくて済むようにチーズの作り方を伝授する。乳牛ホルスタインを授けられ、村に保存食チーズをもたらす…

ラストのナレーションは「保存食が村々に伝わり人々が安心して暮らせるようになりました云々」というまとめで、決して肉食否定ではないのですが…テングリの動機は牛を殺さないためですし、チーズは冬を越すための発明ではなく牛を殺さないための発明ということになってるような…
うーん。勿論教育アニメの創作というのは分かっていますが…すっごいモヤっとする。手塚治虫のブッダでの肉食の描き方は厳格なものとして説得力がありますけれど…ものの20分のアニメで色んな矛盾を感じてとても複雑な気分になりました。
仏教のためか神道のためかは分かりませんが、日本に生まれ育った自分には肉食に後ろ暗さ・罪深さを感じることは確かにありますし、特に子供の頃は考えてナーバスになる事もありました。でも長じて行くにつれ、いただきますという言葉を大切に思うようになって感謝の心が自覚されていきました。
なので食というもの、とりわけ肉食を悪いことのように描くものがどうにもモヤモヤして嫌。肉食しないためのチーズの発明という筋書きがちょっと…(-᷅_-᷄๑)あぁすごいモヤモヤする…!
唐突なホルスタインとか…なぜか牛だけで使役動物としての馬は食われないらしいとか…

ノンクレジットで宮崎駿も参加しているとか。たしかにハウス食品の雰囲気。雪印乳業のPRにしてはなんとも重い…
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