みゅうちょび

プルートで朝食をのみゅうちょびのレビュー・感想・評価

プルートで朝食を(2005年製作の映画)
3.8
70年代、アイルランド人のトランスジェンダーであるパトリックがアイルランド紛争の中にいながら、それを横目に自分を捨てた母を探すという話。

映画はまだ赤ちゃんの彼が教会のドアの前に捨てられるところから始まるのだけれど、2匹の可愛い小鳥がその目撃者として冒頭とラストの語りを担うと言うなんともホンワカした不思議な作品。

キリアン・マーフィー演じる自らをキトゥン(仔猫ちゃん)と名乗るパトリックが問題の数々をすり抜けていくのだが、その危うさと逞しさとなんとも言えない愛らしさが正に人の足元をちょこちょことすり抜けていく仔猫のよう。

70年代の衣装や様々なジャンルに渡る音楽に包まれた愛らしくて魅力がいっぱいのキリアンを見ていると、うっかり他を見落とすほどの引寄せ力で、完全に悩殺されてしまいました。

実際は、心に深〜い傷を持つ彼だからこそ、何事もいちいち真剣に考えていたらやっていられない!あっちを見ればトラブル、こっちを見ればトラブルという激動の時代、抵抗せず流れに身を任せていればなんとかなるっていう彼なりのポリシーが功をそうするかと言うとそうでもないのですが…

でも、終わりよければ全て良し!

パトリックの里親を見つけて託す、実はすんごい訳ありな神父役をリアム・ニースンが演じていてこれも不思議な味わい。

それに、あれ?どっかで見た顔!?って思ってたら、なんとブライアン・フェリーじゃないですか?!なびっくり配役もあったり。登場人物一人一人が個性的で楽しい。

キリアンの仔猫ちゃんぶりを堪能する2時間。なんども繰り返し見たくなっちゃうほど魅力的な映像満載で、わたしのお気に入りがまた一つ増えた。
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