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リプリーのLCのレビュー・感想・評価

リプリー(1999年製作の映画)
3.7
面白かった。

前作とは違う味付けで新鮮に楽しめた。
違う味付けっていうか… 目玉焼き(塩胡椒少々ウィンナーを添えて )と、だし巻き玉子(ほうれん草とベーコンも巻いたよ)みたいな、そんな感じ。どんな感じだ。
姿形も材料も味付けも違うけれど、どっちも美味しい卵料理、みたいな。
本作では一応殴る場面とか血とかしっかりめに見せてきたりするけれど、耐性なくても大丈夫な範囲だと思う。

作中「 Tu vuò fa l’Americano (君はアメリカ人を装いたいのかい)」が流れてきて、とても楽しかった。
わしはこの曲の Remix 版に親しんだ思い出がある。色んな人が色んなタイトルでカバーしているので、色んな表情を持つキャッチーな曲。確か日本語版もある。歌ってるのは日本の人なのかな。

本作は「 The talented Mr. Ripley (多才な者リプリー)」という題名の通り、主人公を掘り下げて描写する場面が多いように感じられる。そして、前作と同じ題名ではないことに納得もできる。
ちなみに、わしがこの作品に興味を持ったのは「 Ripley 」という苗字に反応したから。同名のプロレスラーがいてな。好きでな。
この苗字は、「岸辺の草原」とか「イギリスにある同名の土地の者」とかって意味を持つようだ。
また、名前としては他にも様々な意味を見出すことができる言葉であるみたい。

主人公を掘り下げる、ということは、主人公と関わる人たちも多かれ少なかれ同じように掘り下げられた姿を見られたりするのだけれど、今作で初めましての人たちもいる。
その為、前作で見た気がする景色もあれば、今作で新たに広がる景色もあったりして、結構緊張感を持って物語を見守ることができる。
その反面、わしの感性ではクスッとする場面も増えていた。
「自分があんなこと言ったばかりに…」と、親友が亡くなったことで心を傷める姿勢を示すと、「人の話聞くような奴ちゃうやろ、親友ならわかるやろ」と即座に返されるの、本当に面白かった。死して尚制御不能な放蕩息子、流石だな。字面通り、お前の思い通りには、死んでもならん。ふぁっ…!て顔にもなるよね。

良いところがたくさんあるよ。
そんな才能溢れる者が、どこかへ沈んでいってしまう切なさ。何者かになることと引き換えに、自分が消えていく。長く続く孤独の中に溶けていくのかな。
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