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沈まぬ太陽のodyssのレビュー・感想・評価

沈まぬ太陽(2009年製作の映画)
3.0
【大味】

原作未読です。
この映画、カネと手間をかけているらしいことは分かるけど、どうにも大味ですね。

特に前半がそう。海外勤務のつらさがあまり伝わってこない。人間の描写も通り一遍です。人物の白黒がはっきりしすぎている。

後半はかなり良くなりますが、それでも新会長(石坂浩二)と首相(加藤剛)との関係がよく分からない。なぜ首相は国民航空改革の決意を翻したのか。最後近くで八馬(西村雅彦)の解任が重役会で決議されるところも分からない。首相側の影響力と、重役会内部の人間関係との相克がほとんど描かれていないので、辞めることが分かっている会長の出した動議がどうして通るのか、全然理解できないのです。

あと、他の方も指摘してますが、最後で行天(三浦友和)が検事に同行を求められるところで、検事がにやけているんですよね。何これ、と思いましたよ。

日本の会社の不条理を描くには、墜落事故の比重が重すぎる。もう少し会社の内部抗争や人間関係の描写に時間をかけたほうがいい。

最後のテロップで、「この映画はフィクションであり、実在の人物・・・・・とは関係ありません」と出た後で、「航空機事故でなくなった方々のご冥福を・・・・・」と出るのは、矛盾じゃないかな(笑)。いや、まあ、色々な方面に気を遣わざるを得ない映画製作者の苦労は分かりますが。

原作は多分、もう少し説得性があるんでしょうね。機会があったら読んでみます。
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