サーフ

メランコリアのサーフのレビュー・感想・評価

メランコリア(2011年製作の映画)
3.8
ラース・フォン・トリアー作品で言うと「ダンサー・イン・ザ・ダーク」もかなりキツい作品だったけれど、内容のしんどさ・息苦しさで言うとこの「メランコリア」の方が上だったかもしれない。

「メランコリア」というタイトルは「特別な理由なく落ち込むこと」を意味する「メランコリー」から来ている様にこの映画の主人公の女性ジャスティンは鬱症状を抱えた女性。

この映画は第1章・第2章に分かれていて第1章ではジャスティン自身の披露宴における彼女の鬱描写が主となっている。
特別な理由がある訳でないのに不安定になってくる彼女のメンタル。その彼女の精神状態を理解せずに周りの人間は彼女の事を「自分勝手な人間」としか見做していない息苦しさ。
自分の感情をコントロールできない事へのもどかしさと自分の行動によって周りが滅茶苦茶になっていく辛さ。「滅茶苦茶にしたくてしている訳じゃない」のが伝わってくるから第1章は見ていて本当に辛い。

第1章が「不安が日常化している人」のストーリーだとしたら第2章は「日常の中に突如、とてつもない不安が襲い掛かってきた人」のストーリー。惑星衝突によって地球が消滅してしまうという事実を前に恐れ戦く主人公の姉クレアと自分自身の中に巣食っている鬱の方が勝っているのか最早何もかも諦めているのか顔色一つ変えずに事実を受け入れているジャスティンとの対比。
彼女の冷静さって地球に住む全員が一緒に死んでくれるなら喜んで死を迎え入れるっていう考えなのかなとも思った。
サーフ

サーフ