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メランコリアのyukinoのレビュー・感想・評価

メランコリア(2011年製作の映画)
4.0
美しい映画だった。
メランコリアという惑星が地球に大接近し、地球と衝突するのではないかと危惧される。
結婚式中に惑星の影響か、心が不安定になる花嫁。仕事と夫を失い、憔悴し、姉の家に世話になる。
姉のクレアはメランコリアが地球に衝突とするのではと心配しながら夫と息子と過ごす日々。
回復した妹は何故かメランコリアは衝突するといい、異常に落ち着いている。

地球最後の日、姉妹と姉の息子3人は手を繋いで魔法のシェルターの下でその時を待つ…

オープニングでワグナーの美しい音楽をバックに流れるスローモーション。メランコリアが地球を飲み込むのに、地球は終わってしまうのに、なんだろう、この美しさは?

ウェディングドレスで水面に浮く花嫁のすがたがミレーのオフィーリアみたいだなぁと思っていたら、ミレーのオフィーリアが劇中にもちらちらと登場。その他意味深な絵画たち…これらが意味するものは??

そして惑星の影響なのか憔悴してしまった花嫁は何故か回復すると全てを悟ったかのように落ち着き払っている…
これも不思議。

姉クレアは家族と平穏に過ごす日々を(それとも単純に死?でも夫が死んでいた時は落ち着いていた…)失うのが怖くて、惑星が地球に衝突する最後の瞬間まで諦められない気持ちを持っていた。

死を落ち着いて受け入れるものと、拒絶するもの…(自ら命絶つ者)
「もし明日が地球最後の日だったら?」「豪華な食事をして好き勝手やりたい!」そんな感じでは決して無い。
当たり前のように明日が来ると思っている日常の延長にふと訪れる最期の日。

美しい青い星、メランコリアが象徴するものは何なのか?
メランコリアとは憂鬱?憂鬱が地球を飲み込む?
それにしても青い星は美しいし、ワグナーの音楽も美しいし、透明感のある映像も美しい。

もし明日が地球最後の日だったら、どんな風に過ごすのだろう、リアルに。
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