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質屋のleylaのレビュー・感想・評価

質屋(1964年製作の映画)
3.9
ホロコーストで生き残った男の苦悩を描くシドニー・ルメット監督作品。

かつてはポーランドの元大学教授だった男ソルは、今はNYのハーレムで質屋を営んでおり、金しか信じられず、心を閉ざしている。その男の過去がフラッシュバックにより次第にあらわになっていく…

ソルはある娼婦と接したことで、自分もナチの兵士たちと同じなのではないかと我に帰る。妻子を助けられなかったことへの罪悪感とトラウマ、主演のロッド・スタイガーの表情だけの演技が素晴らしくて引き込まれました。

さすがは社会派のシドニー・ルメット監督、NYを舞台にホロコーストの凄惨さを見せつける巧さ。ほぼ説明もなくカメラワークのみで伝える過去。激しいフラッシュバックは実験映画のようでもあり衝撃的。店員の名がヘズス(Jesus=イエス)とかクギとか、キリストを匂わせる設定や演出も見事。

クインシー・ジョーンズのジャズがストーリーに寄り添わず、乾いた空気を醸し出すのは印象的だけどちょっと耳障り。

幸せな家族のスローモーション映像、手持ちカメラや遠景から何度も映されるNYの街並、収容所の牢獄を思わせる質屋の中のショットなど、ボリス・カウフマンによるカメラワークが冴えわたっていて見応えがありました。


✴︎のんchanありがとう〜✴︎
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